まっちゃ君語り
2016/11/17 13:44


まっちゃ君が不遜だという話について、誤解の無いように言っておくと、
自分は普通だと思っていることは、人としてのわきまえとして良いことだと思うのですが、
彼の場合、普通の範囲が狭すぎる上に、それに無自覚ということに問題がある気がします。

あとは、普通/特別なんていう区切りはあくまで周囲との比較でしかなくて、すぐ変わってしまうような性質かつ本当には存在しない概念だと思うのですが、

自分が特別な存在だという幸せな誤解は、たとえ誤解だとしても彼を幸福にするし、彼を特別な存在だと誤解している人にとっても幸福なことなんです。

特別ということは不変なものではなく、あなたにとって私は特別だ、私にとってあなたは特別だ、と互いに思うことで成立します。
特別な存在など本当は何処にもいないけれど、相互に特別だと誤解しあう事が重要なのかと思います。

彼は誰にとっても特別な存在とは言えませんが、同時に、誰にとってもどうでも良いような普通な存在でも無い。
彼を特別に思う人も居ます。

その思いを否定してまで普通に留まろうとすることは、彼を特別に思ってる人にちょっと失礼です。

例えば、
「あなたの事が好きです」
「そうですか、でも私はあなたが私のこと好きだとは到底思えません、口ではそう言いますがあなた私のことなんとも思ってないでしょ」
というのは、真摯に好きだと言ってくれてる人に大変失礼なことだと思います。

何より彼には誰かの特別になるにあたって発生する責任をとる覚悟が無いんです。
だって、誰かの特別になった事を自覚して振舞わなくてはいけないので。


まあでも、話の最後で彼はその責任を取ろうと頑張ってるんだと思います。

彼は必死で普通であろうとしてたのに、あの家に住む人達にとって自分が特別に成ってしまったことに気がついてしまったし、
彼自身も、自分があの家の人達を特別だと思っている(彼にはまだ「この人に嫌われたくない=愛して欲しい」という自己愛の形でしか現れていませんが)ことにやっと気がついたんでしょうね。

彼は自分を特別だと思ってくれてる人のために、お話の中では特に、ミリさん(誰をも無条件に愛するが故に、不出来な自分のことも確実に愛してくれているのだとまっちゃ君が確信を持てた相手)のために、関係のない他人=普通の人から、あの家の人間関係に踏み込んで口出しする人=特別な人になる覚悟を決めたんだと思います。
そして特別な人としての振る舞いをした。
えらいぞ!


そういう意味ではカラスさんは彼と根っこで似ているにも関わらず彼の数歩も先に居て、
自分が特別だという事に(特殊な体質であるが故に否応無しに、あるいは元からのナルシストな気質から)気がついているし、だからこそ誰かの特別になる事に対しては少々慎重ですが、同時に特別な存在としての振る舞いをきちんとする責任感があります。

そして何より、誰かの特別な人としての自覚を持った振る舞いをするだけでなく、誰かを特別だと思い愛する事が出来るんですよね。
そこがまっちゃ君と決定的に違うところだと思います。
まっちゃ君は、素の自分に愛されるだけの価値がないと思って居て、同時に誰かを愛したところで相手になんの利益も与えないどころか、自分の好意が相手に迷惑になるとすら思ってます。
だからこそ、自分のことを知られたら嫌われると思ってるので人と接するのが億劫だし、「誰にも嫌われたくない」という自己愛が言動の中心になってきます。

カラスさんはそうではありません。
価値が自分にあるという圧倒的な自信から、誰かを愛する事になんの負い目も無いし自分が愛する事で相手が利益になると思えるからこそ自信を持って相手を愛するんです。
半分お節介ですしそれで嫌われることも有るのも理解して居て、それでも人を愛するカラスさん。
ナルシズムの塊だけどすごい人です。

もちろん完全ではありませんが。カラスさんも人間ですので…




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