「ホラーとかサスペンスとかそういう映画でよく、いや、よくっていうほど私もその手の映画を見てる訳じゃないけど、そんなに数を見てない中ですら一つの傾向としてはっきりと出てるのは、敵というか恐怖の対象が殺人鬼であれ人食い鮫であれ巨大コブラであれ宇宙人であれ、イチャイチャしてるカップルって殺されるよね。いやもうイチャイチャってレベルじゃなくて、だいたいヤッてるんだけど。予算少なければ少ないほどね。やっぱりおっぱいってすごいね、おっぱいの人気に嫉妬。じゃなくて、なんでヤッてると殺されるんだろう? 蚊って、人間の汗とか吐き出す二酸化炭素で人間を感知するんだって。そんな風に、数々の殺人鬼…うん、ここでは人間も人外もまとめてそう呼ぼう、殺人鬼達はガマン汁やら精液やら愛液やらフェロモンに反応して、人を殺しにくるのかな? それともなんだろう、よく…あぁ、これもそんなにたくさん見たことがある訳じゃないけど、AVとかで女の子が『イクイク死んじゃう』って言うように、オーガズムは死を呼ぶの? 性ってものすごく生きてる感に満ちた英語で言うところのlivelyな行為だけど、生と死は鏡合わせだから、生メーターを振り切っちゃうと死の領域に突っ込んじゃうのかなぁ? ハリウッドの超大作からB級まで、数々の映画はそういう寓意を含んでいて」

「おい、名前」

「どうしたの、仙蔵?」

「…お前には雰囲気とかムードを大事にしようという気はないのか?」

「え、今の話興奮しない?」

「するかっ! むしろ萎えたわ!」

「………萎えてないよ?」

「身体的じゃなくて精神的にだ!」

「気分が上がってるから、勃ってるんじゃないの?」

「え、いや、その」

「あーあー、私は結構気分乗ってたんだけどなぁ。このまま繋がったまま天国行きなんて最高の死に方だと思ったのに。
 だからいつ殺人鬼が襲ってくるんじゃないかって考えてたら、なんだかいつもより濡れちゃった。腹上死、あ、私、押し倒されてるから腹下死? するのかなぁって」

「……」

「仙蔵? うわっ」

「安心しろ、殺人鬼じゃなくてもお前を天国へ行かせてやる」









なんでもいいから
とっととイケよバカップル





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