流れ星に託せる程、儚い願いじゃない。
「流れ星。流れて来ねぇかな。」
手を伸ばせば届きそうなくらいの、夜空に散らばる満天の星。
それでもこの手は永遠に届くことはないとわかりきっている。
おれのつぶやきを拾ったらしいユースタス屋が、どこか意外そうな顔をしてこちらを向いた。
なんだそれ、まぬけな顔。
「なんだよ」
「いや、『流れ星に願い事』なんてガラじゃねぇだろお前。」
「やっぱりバカだなユースタス屋。あんな宇宙のゴミにおれが願いなんてかけるわけねぇだろ。」
「やっぱりってなんだよ!」
『バカ』ではなく『やっぱり』に反応したユースタス屋は珍しく今日は冴えてるかも。
星に手が届かなくたっていいんだ、お前のそんな顔が見れているなら。
でも、それすらいつかなくなるんだ。
それは、もうすぐそこまで来てるから。
「で?」
「あ?」
「だから、願い事かけるんじゃねぇならなんで流れ星?」
だって、星には手が届かないから。
お前にも、もうすぐ届かなくなるから。
「ふふ。ヒミツ。」
僕を攫ってくれ、シューティング・スター
(これから来る別れなんてみたくないよ!)
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