利己は本能たる野獣【ノブ←ヒソ】 | ナノ



「ぁあっ!もう俺は我慢出来ねェ!団長はコイツに甘いっ甘過ぎるっ!!」


仮宿館内にこだまする、厭きれ混じりの怒号。


「おや、嫉妬かい?男の嫉妬は醜いよ…ククッ◆」
「なんでそうなる!ぶっ殺すぞ!」
「恐いなぁ◆ 団員同士のマジ切れご法度、だろ?」
「〜〜〜ッッ!!」


本人を前にしてもなお、神経を逆撫でする言葉を吐く。色素の薄い、しかし、くっきりとした形の唇に秘密めかした微笑を浮かべて。
それがまた、怒れる者の神経を煽り腰の長刀へ手を向かわせる。


「気に喰わねェ…」


ただならぬオーラが重圧を増した、その時。


「ノブ、其処までだ…ヒソカも軽口は慎め」


やり取りを傍観していただけの旅団の頭が、宥めるような声色で仲裁に入った。


「殺気が混ざればただの小競り合いとするには物騒だ」


ノブナガはクロロの手前、いったん沸いた頭とオーラを静めにかかる。
ヒソカは面白くないといった表情あらわにし、その場から背を向け、ゆっくりとした歩みで姿を消していった。


「おいこらっ!待ちやがれヒソカまだ話しは…チィッ」
「あの手の者をそう真っ直ぐ見てやるな」
「団長っ………アイツは、俺等にとって…必要な存在か?」
「たとえ腹に一物あろうとも、入団の資格は持っている…必要かと問われれば利益になると答えようか」
「そりゃ腕のたつキレ者だっていうのはわかってんぜ、…でもよォ」
「むしろここはそういう奴等の集まりだ、蜘蛛さえ十分に機能していれば、個々における難には多少とも目をつむる」
「………わぁーった!団長がそう言うなら、もう俺は何も言わねェよ」


降参とばかりの口調とは反対に、姿勢は憮然と腕組みの仁王立ち。
不本意だろうことは明白だ。


「ふっ…理解があって助かる」
「おォよ!」


会話はそこで終わり、各々寝床となる部屋に戻っていく。
自分の居所へ。















仮宿として使う館内の移動は、釈然と思考を割り切るには短い帰路だった。
直立のまま長く伸ばした髪をガシガシと掻き乱しブツブツと独り言を繰り返す。


「〜とは引き下がったものの、人格的に、そりゃあ蜘蛛は素性の知れぬ輩も受け入れ…かと言って、あ゙ー、腹の虫が好かねェ」


納得のいかない男は唸りを上げ苛立ちを募らせている。
角部屋に位置したそこは老朽が進み、床板や壁、いたる所に穴があった。天井には雨漏り跡の染みが広がり奇妙な模様を描く。口を開いたままぼんやりと眺めれば、一人きりだと疑わない空間で声を掛けられた。


「まだ何か言ってるのかい?」
「―‐くっ!この嫌な気配…やっぱりてめェか」
「ダメダメ、何時だって警戒心解いちゃ◆」
「無駄に絶使って接近すんじゃねーよ…はぁ……団長は何でお前みたいなふざけた奴を…」
「ん♪ だってほら、ボク…床上手でもあるしν 試してみる?」


毛先を指に絡めながら口先を尖らせ目を細める。
挑発めいた顔に不愉快な発言が相まり、否応なしに再び怒りが込み上がっていく。


「おちょくってやがんのか…?」
「そうだ、実際にやってみた方が早いよねぇ◆」


言うがいなやスタスタと互いの距離を縮める。
目と鼻の先まで迫るとヒソカの手が布越しに男の象徴をなぞった。


「こんの変態が!何考えてんだてめェ、大概にしろよ!」
「う〜ん、今から及ぶ行為にキミの同意を求めるつもりはないんだけど◆」
「っざけッッ…!!」


言葉を遮って唇が重なる。
熱のある深い口付け。咄嗟に奥へ引っ込んだ舌を、差し込まれた舌が絡みとり、唾液を混ぜねっとり離される。


「んっン゙〜ッ…?……ッッ!?ふっ、んゥン゙ッ(こ、声が)!!!?」
「バンジーガムでお口閉じちゃったから、鼻で息してね◆」
「んっふのんっふン゙フッ(さっきの接吻か)!!」


外衣の着物をたくしあげ、股引きの腰紐をほどく。
ヒソカは背を屈めて膝立ちに体勢を変え股ぐらの中心から半勃ちになったモノを取り出す。
特有の匂いが鼻腔に充満した。


「っはぁ…すごい、雄のニオイν」


恍惚とし情欲のある濡れた目で男根を見詰める。
舌舐めずりの後、熱の篭った吐息を吹き掛けながらしっとりと手が絡む。長い指先が亀頭を優しく撫で上げた。
視線をノブナガに向け、手を動かしたまま赤い舌でチロチロと亀頭を横断させる。
鈴口をつつくように刺激すれば先走りが出始め、それを追うヒソカはミルクを舐める猫のようだ。

時折目蓋を伏せてはこちらの反応を確認する。妖艶な眼差しに全身が一気に総毛立つ。


「…ぐっう…うぅっ(クソッ、綺麗な顔しやがって)!」


唾液を垂らしてはそれを舌で塗り広げ、片手で陰茎の根元部分を擦り、残った一方で陰嚢を揉む。

往復する舌が染み付いた匂いまで溶かし舐め上げていく様は、まるで、美味しいものだと体現すんばかりだ。
鼓動が激しく高鳴る。身体中の血液が下肢に集まり、芯を持つ。


「ここを同時にされると…凄く、気持ちがイイ◆」
「ふっ…ぅ゙ン、っヴッッ」


認めず否定の極地にいながらも、一切のあるがままの事実を直視する。
肯定は自尊心の彼方へ導かれ顔を縦に頷かせた。

更に深くヒソカの頭がノブナガの開かれた足の間に埋まる。
温かく柔らかな口の中の粘膜に包まれ、裏筋を舌が丁寧に余すところなく刺激していく。
ぴちゃぴちゃ態とらしく立ててみせる水音は救いようもなく官能的で。耳さえも侵され快感を助長する。
這いずり回っていた舌が動きを止め、ぴたりと竿に沿うと、頭ごと上下に動かしぢゅぷぢゅぷ扱ごかれる。
ノブナガは顎を天上へ向け、堪らず呻き声を洩らした。


「ぅンン゙ッ、っぐ!ゥんゔッッ!!」


抗い難く腰が引ける程の快感を逃すまいと、両手でヒソカの側面頭部を押さえ付け、強いストロークで腰を打ち込んだ。
後ろにまとめ撫で付けた髪が、ぱらぱらと幾筋こぼれ落ちていく。

深く咥えたまま、ヒソカの目尻が上がると同時に唇で吸い付く。
間も無く口内へ勢いだって精子が吐き出された。

濃醇なその全てを舌で混ぜ合わせ、味わいながら、ヒソカは喉を鳴らし飲みほしていく。


「ぁ…ぁあ……はっ、ふぅー…あ?…念、解いたっ…ん、だな……」
「んっ…キミ、ずいぶん呼吸が辛そうだからね◆」


仕上げにペロペロと舐め上げ、付着した精液を綺麗にする。口の端から漏れたものは親指の腹で咥内に戻した。


「…団長とはこういう…愛し合う仲、か……」
「それはちょっと違う、かな◆愛がなくても、良いセックスは出来るものν」
「わけわかんね…」
「言うなれば、セックスだって相手とやるマスターベーションに過ぎない◆」
「あぁ、あぁ、そーかよ…」



それは美しきケモノ。










「わたしヒソカ嫌いね、何故団長アイツのワガママ許すか?」
「腕がいいからだろ」
「……」
「ありゃヤりずれェぜ、正味な話」
「団長がヒソカのこと怖がてる言うか、許さないよ!」
「そーじゃねェけどよ…そうじゃ……」
「…?」





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