非生産的な悪食【シルヒソ】 | ナノ



末梢に違和を覚えたのは本能からか。
底知れぬ何かを直感したが、怯むことなく自室の扉を押し開ける。
閉ざされていた時には気配を絶ち、気付くことの無かった存在。

今、はっきりと認識する。

正確には上等の絶をやめた彼の者に、認識させられたといっていい。
念のスキルが高いことが窺える侵入者。
新手の回し者か…しかし、自ら存在を誇示したとなると、単なる賊の侵入とするには釈然としない。

面倒なことにならなければと予期しつつ、室内に足を踏み入れる。
瞬時に円と凝を用いて洞察するが、天涯付きのベッドに腰掛けた一つの人影以外、留意すべき点はなかった。
卓越した絶を解いた意図を探る為、その場へと近付き姿を捉え見る。

目前に居る張本人は足を組み、寝具の縁に両手をついて表情はにこやかで、この状況を楽しんでいるかの様。
怪しげな衣服にフェイスペイント、髪はなだらかに後ろへ流していた。
随分と若そうなあどけない雰囲気を受けるが、端麗な顔立ちにすらりと伸びた四肢は成人のものといっていい。

視線がかち合う。

ひと瞬きの後、侵入者が先に口を開いた。


「凄い威圧感、…流石はゾルディック家当主◆」
「誰だテメェは」
「ボク、ヒソカνイルミの友達◆」


ここで自分の息子の名前が出てくるとは…よもや友達とまで。


「遊びに来たんだ♪是非手合わせを、と」
「殺ろうってか?」
「ククッ、それも魅力的だけど……今は…セックスしたいν」


どこまでもふざけた野郎だ。
更に色情狂とは救いがたい。


「俺は男に情交を迫られても興奮なんざしねぇんだが」
「じゃあ、その気にさせれば良いってことかい?」


薄く開けられた口端が吊り上がり、眼に妖しげな光が生まれる。

目の前の男…
ヒソカ、といったか……
ヒソカは官能を称えた蛇の様に肢体をくねらせ、身に纏う服に手をかけた。


「何だ、ストリップでも始めようってか」
「まぁ…そういうことになるかな◆」


表情は尚も穏やかに笑みを崩さない。
身体のラインをなぞりながら上着をたくし上げ、首から抜きさり素肌を晒す。
スレンダーの中に洗練された肉の隆起が見てとれる。

内股にヒールの靴を脱いで軽く放り、張るように伸ばされた両脚の爪先。
静かにスラックスから緩慢とした手付きで片足ずつ交互に引き抜く。

意味ありげな視線は光を増し、目尻を細めながらも中核はギラ付き欲望を示す。

下着だけの姿となり、この上なく誘惑的に腰が揺れた。
いっさいの無駄のない総身が露になる。

ヒソカは後ろを向き、ベッド上へ膝立ちの姿勢をとると、最後の一枚に両手をかけ下へとずらし始めた。
前屈みに膝まで下ろして、なだらかな背筋から双丘へと続くラインがはっきりすると、今度は腰をついて座り直す。
そして両足を擦り合わせる動作だけで下着を脱ぎ、足先ですくうようにそれを掴むと、優美に寝具の外へポトリと落とした。

ペースに引き込まれてしまっている。

鋭くも色濃く情を孕んだ目付き。
いっそうの笑みを向けられ、自分の中の男が刺激されたことに動揺と…
それを上回る高揚感。

ヒソカはシルバを見つめ続けたまま、右手の指を順に口に含み愛撫し、音をたてて唾液を絡ませた。


「っふ、ちゅく…っは、ぁ……チュク…ふ…ん、くちゅちゅぅっ……っは……」


鼻にかかった息遣いが時折洩れ、咥内を犯す様にもとれる光景。
ひとしきり五指に舌を絡め終えると、左手で内太股を押さえつけながら開脚し、秘部を露にした。
濡れた中指と薬指を自らのすぼまりへしのばせる。
受け入れの為外壁を慣らし、内部を解かす。
見せ付けるかの行為にシルバは益々煽られ、際限の無い興奮の波が押し寄せた。

静観していたシルバが動く。

ヒソカの腕を掴んでうつ伏せにさせると、両手で腰を引き上げ、形の良い臀部を突き出させる。
現在までの視界から得た誘発現象で、先走りの淫液にまみれた一物。
その熱の塊を、ねじ込む様にヒソカの中へと挿し込んだ。


「―ッッんぅっぁ゙あっ!!…んふ、ぅ……ッ、…ぅ、ぁは……ぁっ…」
「窮屈だな」


内部は一瀉千里に貫かれ、根元までが収められる。
喉を絞り出た短い悲鳴。
中途半端に解かされただけのそこに、荒ぶる雄の凶器を受け入れるのは容易い事ではなかった。


「っく、ひ…ぁ、……っぁ」
「……動くぞ」


その一言でベットのスプリングがギシギシと鳴り、がくんがくんと揺さぶられる。
衝撃後、足の爪先まで痺れるような激痛が走っていく。
加減を知らない様子での輸出に、赤い液がヒソカの大腿を伝う。
やがてそれはシーツを点々と鮮やかに染めた。

容赦なく横暴に、荒々しく与えられた行為。

肉体は精神に昇華をかける。

衝き上げられる度引き裂かれそうな痛覚の波を甘受させると、それが、この世ならぬ愉悦を生みヒソカを身悶えさせた。


「あぁっ、ン……ッ、ひっ…アッ、ぁんあっあっ、あッぁああっぁっ」
「っ、…ハッ……いい声出すじゃねぇか」


ヒソカ自身の中心がさざめき、芯がずぐりと主張を持つ。


「あっんっ、ぁっぁあっぁ、ぁっ、おく…す、ごぃっぁっおくがっぁあっんゥっ!い、いっぁいい!っきもち、イっああっ!!あっあっ」


体が発する叫びが直結したかのように、口からとめどもなく発っせられる。
その声はシルバの股ぐらをイキり勃たせ、脊髄を奮わせる。


「ぁっんっあぁっ…ぁ、あっぁっぁっも、だめ…っ、でちゃ、あっ!でちゃッッひぁンッ」


熱い肉壁の粘膜が擦れる感覚は、シルバにとっても凄まじい肉の快美だった。


「は、ぁっ、ん…ッ、や、でる…っ!あっぁっあっあぁああっっ!あっぁンっっ!!」
「好色淫蕩な割には…っ……堪え性が、ないんだな」


全身に力を加えた四肢の引きつり直後、張り詰め天を仰いだ節が弾ける。
白濁液を放ちながらゆるゆると項垂れたが、その後も休息なく激しく続けられる行為に、すぐまた角度を高めて快楽の反応を示した。


「あ、…ひ、……っ!あ、ぁぁっぁ、ダメ、ぇ……あっ、またイっちゃ、んっぁっぁっぁっ」


自室で得体の知れない男の股を開かせ、何をしているのかとよぎる疑念も…雄の本能が凌駕し彼岸の彼方へと消えていく。


「ンっんっふ、っあ、ぁっぁっ…イ、クっ、また、ぁっぁっぁっ…!」
「出すぞ」


告げられた言葉にゾクゾクと震わす体。
シルバの息が汗でしっとりとした背にかかる。たまらずビクリと身を強張らせたヒソカの絞まりに、シルバの獰猛な一物が堰を切ってはぜる。
既にヒソカのペニスは精子を吐き出すのをやめ、空イキのような状態だ。

数度の往復で流し込む様に出し切り、ズルリと抜く。

あさましく獣そのものな目合い。
相手に配慮を知らない行為。

力を失った身体を仰向けにさせると、だらりと弛緩しきって成すがままに表を晒した。
許容を超えた快感に蕩け、恍然とした面持ちで呼吸を繰り返す。
元より白い肌が桜色に染まり、口の端から溢れた唾液が顎を伝って首筋をてらてら光らせていた。
目の前で発せられる色気、この媚態…顔を見ずにいたのは惜しかったかと苦笑する。

赤い筋が伝った股を開かせて、潤いを得たばかりのそこへ再び男根を埋める。


「っ!ぁあッ、んっ……ボクとしては、もう…満足したのだけれど」
「籠絡色狂いが、この期に及んで音を上げるってか」
「受け入れ続けるのって…けっこうツラいんだよ、ねぇ…◆」
「黙って最後まで付き合えよ」


細身の足を片方肩に担ぎ上げ、繋がりをより深いものに変えた。
再び下肢を荒々しく動かし打ち付ける。


「ぁあふぅ、んッ!…ぁっぁっあっぁんぁっも、ムリ…っ、ぁ、あ、あっふぅ、ン…ぁっあっ」


苦悶と歓喜の入り交じった喘ぎ。
だんだんとストロークが大きくなり、速さも増して攻め立てられた。
眉間をゆがめ、シーツにすがり掴む両手を固くする。


ぐりっと前立腺を抉られ白い喉が震えた。

生理的に込み上げた涙が睫を濡らす。

ヒソカは激しく絶頂感に全身を強張らせ、ペニスからは少量の尿と白濁の残滓を漏らした。
くわえ込んだ肉壁は最果てと共に蠢き、シルバもその強いうねりに昇りつめる。搾り取るかのように萎縮を繰り返す中に、導かれるまま精を放った。

埋めた楔を引き抜くと、送り込んだものが垂れ出る。
それは血と混ざりあって薄紅色をしていた。

汗がにじみ湿った体をぐったりとさせつつ、ヒソカは呟くように言葉を紡ぐ。


「子供が出来たら良いのに…◆」


額に張り付いた前髪を片手で気だるそうにかき上げ、本気とも冗談ともとれる笑みを浮かべる。


「美味しそ…ν」


そんな戯れ言には構うことなく
微かに動かされただけの唇を、割り開いて貪った。





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