「ま、待ってくださいっ」
できるだけ二人を起こさないよう
小さく声を上げてその手を止めた
「酔ってますよね、冴島さん」
「なんで止めるんや」
「・・・酔ってる、絶対」
そりゃ私だってこんな状況
夢にまで思わない
桐生さんの時だって
今のこの状況だって
正直良いかな、と思うけれど
今日だけはダメなのだ
「私、まだシラフなんですよ・・・?
もうちょっと酔ってからじゃないと・・・」
さっきのようにちょっと女性らしく
振る舞い、桐生さんの時と
同じ手段を使ってみる
さすがに冴島さんには効かないか?
「せやな、それもそうや
飲み直してからにしよか」
この人も引っ掛かってるぅううー!
早速席へと戻る冴島に
逆にあっさりし過ぎて
若干残念がるなまえだった
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冴島さんと飲み始めた時だった
桐生さんが目を覚ます
「結局俺落ちてたのか・・・」
「お、おはようございます・・・」
「なんや、起きたんかい」
私は桐生さんとの二人の出来事を
思い出し、ヒヤヒヤしながら見つめる
桐生は思い出したかのように
なまえと空き部屋を見やると
「お前、飲んでんのか?」
そう言ってボトルを開け始めた
冴島も負けじと対抗するように
なまえのグラスに
お酒を注ぎ足していく
「早う、みょうじも酔えや」
「そうだぞ・・・、って
なんでお前が言うんだ・・・?」
桐生と冴島は顔を見合わせる
ハハハ、と冷や汗を流しながら
その注いで貰ったお酒を飲むと
同時に、とうとう
隣に居た男が目を覚ます
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