路地裏に続くビルの地下へと
降りて勢いよくドアを蹴破ると
そこには服を脱がされかけた
なまえと男が居た



「っ!?き、桐生さん・・・っ」



その顔は今にも泣き出しそうで
なまえはその場から必死に
逃げようとするが椅子に
拘束されて身動きが
とれない状態だった





「お前ら、誰だ・・・?」

「それはこっちが聞きたいねぇ
こんなちんけな場所で一体
なにをしようとしてたのかな〜」



秋山が近づこうとすると
男はすぐさまナイフを取り出して
ゆっくりとなまえの首元へと近づけた



「へへっ・・・これはこの女との取り引きだ」

「・・・取り引き、だと?」

「この馬鹿な女が、自分から
罠にかかりやがったんだよ」

「っ・・・!!」




なまえは声にならない声をあげると
首元に近づけられたナイフが
皮膚刺さり、一筋の血が流れる

へらへらと怪しげに笑う男は
なまえのバッグから
封筒を取り出して
匂いを嗅ぐ素振りを見せた



「やっぱ、金と女は最高だな・・・
金を持った女がいたら
そりゃ誰だって狙うだろ?」

「・・・お前・・・」




桐生は拳を握りしめ
男を睨みつける


「あ、でさぁ・・・こっちもこれから
予定あんだよね、ちょっと
ここから出て行ってくれねぇか?」


男はなまえの前に立ち塞がる
すると背後から足音が聞こえ
男の連れ達が凶器を構えながら
桐生と秋山の周りを囲い始めた



「女ってヤツは困ったことに
売り物にもなるんだよねぇ
本当にいい物を拾ったと思ってるよ」

「い、いや・・・」



なまえの震える声がする

桐生と秋山は目を見合わせると
体を動かす準備をし始めた



「・・・秋山、悪いがあの男は
俺にやらせてくれねぇか」

「あらら〜、実は僕もひと蹴り
したいところだったんですけど・・・」


秋山はわざとらしく
はぁ、と溜息つくと



「じゃあ、どうぞ」


そう言ってニコッと微笑んだ瞬間
囲っていた男達に蹴りかかった

唐突な出来事のあまり
桐生の目の前の男は
驚愕し、ナイフを落としてしまう




「な、何者なんだよ・・・お前ら・・・」

「お前にひとつ教えといてやる」

「・・・く、来るな・・・っ
こっちに来るなぁ・・・!!」



桐生は大きな歩幅で
男との距離を縮めていき
勢いよく胸ぐらを掴んだ






「女の意義は、金じゃねぇ・・・」







桐生のその鋭く重い拳が
男の顔面にのめり込む




殴り倒れた男から顔を上げると
目一杯に涙を流しながらも
どこか微笑んだ表情のなまえが居た









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