・・・・あれ?


飲み始めてから
どれくらい経ったんだろう

頭ががんがんと鳴り響く
瞼が重たくて開かない
それと、なんだかさっきまで
座っていた椅子とは違って
なんだかフカフカする




「・・・さえ、じまさん・・・」



サー・・・・




どこからか音がする
水の、音のような・・・

その前に冴島さんが
隣に居ない気がして
私はハッっと我に返った





「しまった!!

私、寝ちゃってた!?」



無理矢理重たい瞼を開いて
勢いよく立ち上がると
じわじわぼやけて見えた視界が
さっきまで居たバーでは
なかったことに気がついた





「あれ、ここ・・・どこ?」


目の前には大きな液晶テレビ
私が起き上がって足元を見ると
そこにはクイーンサイズの
大きな大きなベッドがあった


そしてさっきまで
聞こえていた水の音が
なんの音なのかも知ってしまう





ガチャ・・・



「っ・・・さ、冴島さん?!」

「なんや、なまえ
起きとったんか」


向かいのドアからやって来たのは
バスルームから出てきた
バスローブ姿の冴島さんだった


私は状況を察すると
顔を真っ赤に紅潮させ
すかさず目を逸らす


「なまえ、もう大丈夫なんか?」

「へっ!?は、はいいっ!!
そ、その・・・私っ・・・す、すみません!」

「・・・とりあえず落ち着け」

「で、でもっ・・・」



どう考えても今居る場所はホテル

その上酔っ払ってしまった私を
ここまで運んでくれた



こんな場所に二人きりの状態で
緊張しないワケがなかった




ゆっくりと近づいて来る冴島さんに
気恥かしさで目を合わせることができず
黙って俯くと指をとにかく弄る



ギシッという音と共に
冴島さんはベッドの端へ
腰をかけた


場所な場所だけに
少し距離が近くなっただけで
私の心臓は爆発しそうだった





「・・・わ、私・・・その・・・」



こんな場所に連れて来られた
というのは、つまり
そういう関係でも良い、
ってことでしょ?



ドキドキと鼓動が大きくなる
心臓をぐっと抑えながら
ゆっくりと冴島さんの顔を見上げる



すると冴島さんは
ベッドから立ち上がった



「・・・安心せえ」

「えっ・・・?」

「お前をとって食おうなんて思ってない
・・・酔い潰れたのを休ませるために
ここに連れてきただけや
そんで、もう出れそうなんか?」

「・・・

そう、ですね・・・
もう大丈夫みたいです」





グサッと心のどこかに穴が開く



そっか



そういえば、そうだよなぁ
だって距離が縮まったって
少し好意を持ったって
冴島さんにとったら私は・・・











「・・・私は、ただの子供ですか・・・?」

「・・・なまえ・・・?」

「少しでも期待しちゃ、駄目ですか?」

「な・・・なんや、急に
まだ酔うとるんか?」

「冴島さん・・・」





私なんて、ただ歳の離れた
子供同然なんだ





私がどんなに好意を持っても、
一生たどり着けないのかもしれない









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