「…っ先輩!」

倒れた体を受け止めながらそう叫んでも先輩から返事は返って来ない。

「財前!」
「何があったんや!」

段々と周りが騒がしくなっていく。謙也さんと部長がこちらにかけて来ているのを何と無く認識するものの、突然のことに頭の中はごちゃごちゃで何が起こっとるのかわからへん。

「白石、先生に言うてきて、俺連れてくから」
「頼んだで。…財前、お前は次の競技あるやろ、戻り。」
「でもっ」

大丈夫やから、
部長は少し眉を下げながらそういった。謙也さんに抱きかかえられた先輩が遠くなって、何もできない自分がやけに子供のようで、ただただ自分を呪った。


____えー生徒は次の競技の準備に取り掛かりなさい


一時騒然としていた周りも、そんなアナウンスで次の競技の準備に取り掛かりはじめる。


「先輩、体調悪かったんですか、」

周りには聞こえない声で呟いた言葉は不安にしかならなくて、競技が始まるまで、俺はそこに立ち尽くした。
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