頑張る、とは言ったものの正直走ることは得意じゃない。

「では、午後の競技、借り人競争をはじめます。まずは女子からです。」

アナウンスがなり、集まってきた女子たちの目は完全に捕食者のそれだ。
多分皆、白石とかその他メンバーを狙っているんだと思う。可愛い顔が台無しな怖い顔にびびった私は、どうか、そこらへんの数学の佐藤先生とかが当たるよう祈った。

「名前!頑張れ!」

テントの方からそう言って手を振ってくれる茜に手を振りかえして、若干の憂鬱な気持ちを残したまま列にならんだ。



「位置について、、よーい、どん!」

パァンと大きな音がなって走り出す。案の定ものすごい勢いで。
トラックを少し走るとそこには借り人用の箱。

「、あ」

箱のなかに手をいれて、紙を一枚抜き取る。少しドキドキしつつ中をみれば、そこには《スピードスター(笑)》と書かれていた。
…なんで。その一言につきるくらいある意味運良くこれを引き当てた自分を恨みたい。眼鏡とか、黒髪とかなら沢山いたから選べたのに。
どうしようかと周りを見渡せば、皆紙に書いてある人を探し始めていた。
…ここまできたならしかたない。そう思い腹をくくる。

「っ、けんや」

自分的には大きい声を出そうとしたのに耳に届いた自分の声は震えたか細い声だった。こんな声じゃ相手に聞こえるわけもない。そう思ったのに

「借り人もしかして俺やった?」
「え、」

俺やった?なんていいながら謙也が人混みをわけてこっちへ向かってきた。

「呼んだやろ?」
「あ、うん」
「じゃあ走るで!」

謙也は俗世間でいうお姫様だっこをして走り出した。

「謙也!ちょ!なに!」
「勝ったもん勝ちやっちゅー話や!!」
|

←目次へ
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -