一緒に帰るっていっても話題がないわけで。私と財前くんは今、お互い無言だ。
「先輩、生徒会長なら制服ちゃんとしたらどうです?」
「えっなに急だね」
無言を打ち破ったのは財前くんで、その台詞はこのだるだるした私の服装のことだった。
「一年生のやつら先輩のことヤンキーやてゆうてましたよ」
「いや、あのね、四天宝寺の制服の着方がさ、ビシッときる、ダルっときる、何も着ないのどれかやって聞いて、一年生の頃から少しは面白味あるようにだるっときてるんやって。ちゃんと理由があるの!」
「…先輩真面目過ぎやろ」
笑いながら言う財前くんに馬鹿にされてるとしか思えないんだけどこれは勘違いかな?でも制服なおしたほうがいいのかもしれない。一応生徒会長なんだし。
「ま、でも柄悪そうに見えるて言われてるだけやし先輩がそれでええならええか」
「柄悪いなんて言われてんの私?!」
言ってきた張本人が若干のフォローをいれてるってのはおかしいね。そういったらどつかれた。痛いよ財前くん。
そんな風に他愛もない話をして歩いていたら、
「あ、俺こっちですわ」
「そうなんだ。気を付けてね。」
家の近くの曲がり道で財前くんがそう呟く。どうやら財前くんのお家はあっちの方らしい。
「そうや、先輩メアドと番号教えて」
思い出したかのように財前くんがそういうから、普通に赤外線をした。なんやあっさりっすね。そういう財前くんにそうだね。と返して。なんだか前より仲良くなれたことに嬉しさを感じて、にやにやしてしまった。顔ひどいですよ。去り際にそんなことは言わなくていいとは思うけど。
財前光です、よろしくお願いします。夜、そんなメールを送ってきてくれた財前くんに律儀な子だなぁなんて思いながら返信を返した。
「こ、ち、ら、こ、そっと」
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