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08/11


Side-Cloud


昨日の夜、ザックスが消えた後、帰ったそのまま自室に閉じこもって泣 きじゃくって今に至る。

また、俺の目の前で。

俺は、またザックスを殺した。

自己嫌悪の嵐だ。


突然、ドアをノックされる。

もしかして…ザックス?

「クラウド?もう起きてるよね?ティファだけど、どうしてでてこない の?」

「ティファか…今日は体調が優れないんだ。一人にしてくれないか?」

「体調は、関係ないよね?…ザックスのコトなんでしょ?昨日から、帰 ってこないし。」

「……そうだ」


ティファは痛いところを突いてくる。
勘が鋭いのか。

「一体、何があったの?」

「ザックスが消えたんだ。いや、ライフストリームに還ったのか」

「そう。でも仕方ないんじゃない?もともと死んだはずの人が生き返る なんて、それだけで奇跡じゃない…」

ザックスをそんな風に言うな。

「ザックスがいないなんて…」

「……か………なよ」

「え、何?」

「そうやってうじうじするの、いい加減やめなよ!!」

「ティファ」

「クラウドはいっつもそう。もう子供じゃないんだよ!ザックスが世界 のすべてじゃないんだよ。みんな、大切な人二度と戻ってこないんだか ら」

「…ぁ」

ティファも、失ってるんだよな。 大事な人を。

それでも…

「すまない、ティファ。けど、今日は」

「今日だってクラウド、誕生日だからってマリンやデンゼルが一生懸命 に準備してくれたんだよ。甘ったれないで!!」

俺、誕生日だったっけ? すっかり忘れてた。

そりゃあティファも怒るよな。

「クラウド、どうかしたの?」

「デンゼルか?」

「うん!今日、すげープレゼントがあるんだ!!クラウド、絶対喜ぶよ! 」

早くきてよー!と奥からマリンの声もする。

「これでもまだ、閉じこもるつもり?」

大事な家族、

ティファには敵わないな…

「今行く。少し待っててくれ」

ちゃんと、気持ち切り替えるから。





『クラウド、誕生日おめでとうっ!!』

3人の盛大な拍手で出迎えられる。

「みんな、本当にありがとう」

「早速ですが、クラウドにプレゼント!」

そう言うと、目隠しをされる。


「…もう、目を開けていいか?」

「うん、オッケーかな?」

目隠しを外される。

そして、目にしたのは


瞳の、綺麗なアオ色で。

「誕生日おめでと、クラウド」

唇に感じた熱が、全身に広がって。


口づけと気づくまでの時間、3秒。

それをした人物を認識するまで、2秒。

唇が離れるまであと、1秒。


ゆっくりと離れれば、また視界にアオが広がる。

消えたはずなのに。
子供達がいるのに何するんだ。
どうやって戻ったの?
1番に会いにこいよ。

言いたいことは色々あったけど。

最初の言葉は──

「ありがとう、大好きだよザックス」

「どういたしまして。クラウドの為に戻って来ちゃいました!…とか言 って」

あぁもう。 せっかく気持ち切り替えて家族と楽しく誕生日を過ごそうと思ったのに 。 嬉しすぎて、涙が溢れるじゃないか…!

「クラウド」

ザックスはみんなに顔がみえないよう、隠してくれる。 大きな体によりかかれば、とくん、あったかい、心臓の音が心地好くて 。 みんなが気を使って出かけた後も、しばらくそのままで。

「今度こそずっと一緒だ。三度目の正直ってやつ!」

「仔犬がそんな言葉使うな」

「ばかで悪かったな!」

「みんな、行っちゃったじゃん」

「気ィ遣ってくれたんだろ?」

悪びれる様子もない。


「ほんと、ばか」

10年ぶりくらいの俺からのキスは涙味で、それでも甘い、味がした。


End.

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