Short Story | ナノ





かくしてミッドガルに来たわけなんだが…。
…………………
……………
…ここ、どこですかーっ!?!?


03


「もう…都会嫌だ…。道わかんねぇよぉっ」

ミッドガル着いて、神羅に行くまで観光がてら探検してたのが2時間前。可愛い女の子見つけたから追いかけて路地裏入ったのが40分前。女の子見失って大通りに戻ろうとしたのが30分前。
現在…路地裏。かれこれ30分近くさまよってる…。

「俺このまま死ぬのかな…帰りてぇ、父ちゃん!
…って、さっきの道だし。はぁー。」

こんな調子に呟きながらちょうど30分前の道にでた。

「貴様!……っ!?」

ふいに声をかけられたので振り向くと…

目の前に、細い何かがあった。
何だろう?よく見てみると、とてつもなく長い日本刀だった。
突然の展開だというのに──あまりにも突然すぎたから、だろう──なぜか刀に見入ってしまった。
緩やかに曲線を描き、白銀に光る刀身。刃こぼれが一切無く、よく手入れされていることがわかる。
と、刀に釘付けになっていると不意に刀を下げられた。そこで漸くその人に気づけた。
気づけただけであったが。
俺はまたも釘付けになった。否、見惚れてしまった、というのが正しいのかもしれない。刀と同じく長い白銀の髪に、それに負けない肌の白さ。ソルジャーの黒い服が肌によく映えている。一瞬女の子と見間違いそうだが、体や顔つきから男ということがわかる。顔つき、といってもゴツいというわけではない。クラウドのように中性的な美しさではなく、男らしさのある整った顔立ちだ。

(こんな綺麗な人がいたのか…!?)
ここで一つの疑問が生じた。ソルジャーの黒い服?
んん?ソルジャー、の?…!!!!

「あんた…ソルジャーか!?」

何か言いかけていたけど、そんなの無視して半ば叫ぶように聞いた。

「あぁ、その通りだ」

俺の声に驚いたのか、面食らった顔になったがすぐに苦笑まじりにこう答えた。

「すげぇ…すげぇよっ!!本物だ!まさかミッドガル着いてこんな早くに会えるなんて思わなかった!!迷子もなってみるもんだな。俺、ザックスって言うんだ!今日神羅の面接受けるんだけど、絶対ソルジャーになるからさ、よろしくな!」

短く、よろしく。とだけ返される。

「そういえば、さっき何かあったの?」

「任務でな。女を追っていたが、逃げられた。」

「それ…もしかして俺のせいか?」

無言の肯定。あ、俺のせいか。そうだよねそうですよねごめんなさい本当にすいませんソルジャーに迷惑かけるなんてほんとどうお詫びをしたらいいのやら……
ソルジャーに会えた嬉しさや迷惑かけた申し訳なさ。色々まじって、頭の中はパニック状態。
もう涙でそうだ。既に涙目だけども!
そんな俺を見かねてか、

「別にお前のせいではない。むしろ、刀を向けてしまってすまない。…ところで、」

ん?と首を傾げる。
ショックから解放されかけた俺にさらなる打撃。


「面接の時間は大丈夫なのか?」

「あ。あああぁぁぁぁーっ!?!?!?」

まずい。かなりギリギリな時間だった。

「今から神羅に戻るが…一緒に行くか?」


そうして俺の都会生活が始まるのだった。




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