Short Story | ナノ





母さん、今まで育ててくれてありがとう。せっかくもらった命を捨てるようなことをしてるのはわかってる。でも、許してくれ。父さんの仇を確かめたいんだ…。
家族へ、兄さんらしいことしてやれなくてごめん。接し方がわからなかったんだ。もう会えなくなるかもしれないけど、どうか幸せには暮らしてくれ。
そしてザックス。一番年が近い、けれど性格は正反対で。お前だけは俺を気にかけてくれたな。みんなから好かれてる、お前が家族を引っ張っていってくれ。信頼、している。

俺はアバランチに入る。あの大企業、神羅に刃向かうために。



01



『なぁ!!一体どこ行くんだよ!?』

『………』

クラウドは何も言わないで、ずっとうつむいている。

『何で答えねぇんだ…?』

『…家族を、、、お前を危険な目にあわせたくないんだ。』

『どういうことだよッ!答えろ!クラウド!!』

なんで…教えてくれないんだ?
俺たちを危険な目にあわせたくない?何言ってんだよ?

『俺、行かなきゃいけないから』

『訳わかんねぇこと言うなよ…行かせらんねぇ』

俺はクラウドの前に立ちふさがった。

だが。
俺よりも細いクラウドの腕は、どこで鍛えたのか不思議なくらいの力を持っていて。俺を押しのけて、出て行ってしまう。
俺は、必死に手をのばした。クラウドに届くように、精一杯。


『待ってくれ───


「クラウドっ」

目の前は真っ白。ザックスはほっとした。

今までのは夢だったのだ、と。

自分の声で起きるなんて我ながら間抜けだな、なんて自嘲の笑みをもらしてみても、ぐっしょりと寝汗で濡れたシーツがザックスの動揺を明らかにしていた。

ザックス、18歳。去年の夏、俺の兄貴は突然 失踪した。
理由はわからない。

それから、時々この夢を見る。

なんでだろうな?もう、一年も昔のことなのに───




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