自室の部屋を開けて手荷物を床に投げ落としたと同時にどっと疲れを感じた。
聖なる夜なんて誰が言ったんだ。
聖なる夜だろうとなんだろうと仕事は舞い込んでくる。
血塗れになった、あちこち切られたマントも剥ぎ取ってゴミ箱に捨てた。
どかりと思い切りソファに座って溜息を吐いた。



「随分ご機嫌斜めだな」
「…あのクソジジイめ」
「直接元帥に言ってやれよ」



ぶう、と頬を膨らませれば彼は笑ってお酒とグラスを机に置き、私の頭に手を置いた。
少し詰めれば隣に彼が座った。
身体の大きい彼と座るとこのお気に入りのソファも窮屈だ。
上機嫌にお酒を注ぐ彼に何だかムッとして彼の肩に頭を預けた。
そんなこともお見通しな彼はまた笑う。



「随分上機嫌ね」
「そりゃあなあ。俺は一日休みだったからな」
「狡い」
「若い内は苦労しな」
「…クリスマスイブなのに」



飲む動きが止まる。
琥珀色の瓶を眺めながらそっと彼の太腿に手を置く。
グラスが机に置かれ、置いた手を握られた。
あったかい、おおきな手。



「まだクリスマスイブだろ」
「…あともう少ししかない」
「でもイブも、クリスマスも一緒にいれるだろ」
「…意外とロマンチストだね」
「…意外とは余計だ」


手を解かれて、肩を抱かれる。
ふんわりと香る彼の香りにホッとした。
上機嫌な彼はよくわからない唄を優しい、渋い音色で口遊む。
ゆっくり瞼を閉じて、彼が髪にキスをくれた。



「メリークリスマス」




カウントダウンクリスマス







20111208
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