クリスマスってすごい。
嫌いな人なんていないんじゃないかってくらい街中盛り上がる。
子どもはキラキラ光るネオンに瞳を輝かせて、母親に手を引かれながらサンタさんにプレゼントお願いしなきゃ!とはしゃぐ。
私はその後ろ姿を見つめてため息が出た。
そんな自分が嫌だ。
「そう…だよね…」
「…悪い」
「ううん、何で謝るの?トシが悪いわけじゃないよ」
「………」
「…トシ?」
「…いや、悪い」
「何も悪くないよ」
はあ、と電話を切ってため息。
3日前の話だ、わかってたはずなのにそう思ってたのに。
誰かが言ってた、わかってるんだけどって言う人はわかってないんだって。
正に私のそれだ。
彼の仕事のことを理解していたつもりだった、つもりだ。
クリスマスは恋人同士で逢うだなんて誰が決めたのだろうか。
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何でこんな大荷物なんだ。
自分でも呆れてしまう。
大手ホームセンターのマークが描かれた袋を適当に置いてケトルにスイッチを入れた。
同じホームセンターで二人で買ったゴールドクレストが美しいのがいけないんだ。
そう勝手に結論づけた。
もう日付が変わろうとしている。
クリスマスももう終わり。
それなのに何で買ってしまったんだろう。
適当に肴を作って、ワインを引っ張り出す。
グラスに注いでゴールドクレストの前に座った。
そうだよ、ゴールドクレストも可哀想だよ、綺麗にしてあげなきゃ。
買ってきた、乱雑に置かれた袋をひっくり返す。
ダイヤ型の電飾を手に取ってぐるぐる巻きつける。
丸い、色とりどりの玉を引っ掛ける。
星を最後に乗せて、電気を消してゴールドクレストに巻いた電飾のスイッチを入れた。
きらきら、きらきら。
「何泣いてんだよ…」
頭にポンっと温かな手のひらが乗る。
顔をあげれば困ったような顔をしたトシが立っていた。
「トシ…」
「遅くなっちまったけど…メリークリスマス」
「うん、うん…メリー、クリスマス!」
もうすぐサンタがやってくる
ワイングラスを鳴らして、肩を並べて、二人で立派になったツリーを眺める。
そっと笑って、そっとキスをした。
20111208
ゴールドクレストの属しているイトスギは死の象徴なのにクリスマスツリーに使われるのは謎ですよね