毒を孕んだ指先に、撫でられる。ほどけて波打つ栗色の髪を、熱を持った頬を、じわりと汗をかきだした首筋を。なぞられると酷く擽ったくて、そしてなぞった後はそこからじくじくと熱が上がる。はあ、と吐き出した自身の息の熱さにさらに身体を煽られて、羞恥のようなものが少しばかり沸いた。頭は酷い風邪を引いたときのようにぼんやりしていて、でも、欲しいのは薬でもスポーツドリンクでもない。身体を蝕む不健全な熱。下げる手段など、。

くすくす。

右耳に笑い声が近付いて、そのまま軽く食まれる。ふ、と思わず漏れた声を抑えるとブラウスのボタンを外して緩めていた指が動いて唇に触れた。我慢しなくていい、と言うように口を軽く開かされる。と、その隙間を抉じ開けるように進入する人差し指と中指。驚きに上げた声はくぐもった雑音にしかならない。ぐちゃぐちゃと無遠慮な指が熱を持つ咥内を掻き回す。

は、ぁ、あう、

水音が酷く厭らしいものに感じられ、それに聴覚を犯されてまた一層じわりと熱が上がる。開かされたままの唇から唾液が溢れて、つうと落ちる。しばらく、ぐちゃぐちゃと二本の指で舌すら遊ばれ続けて、何分たったか。漸く唾液にどろりと濡れた指が抜かれる。異物の無くなった口からはただはーはーと掠れた吐息が漏れる。滲む世界。涙。身体に溜まる熱。苦しい。ただ悪戯に熱を上げられるばかりで何も欲しいものをくれやしない。早く。早く。はやく、ねえ、はや、く。

このままじゃあこわれちゃうよ。



20120611 ブリキの兵隊、水葬へ




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