だらりと垂れ下がった青の制服を纏う青年の腕。握られた革の一本鞭。金の長髪を二つに分けてそれぞれを編み込んで垂らした、少女のするような髪形をした青年の顔にあるのはただ無感情。薄暗く寒い地下室にぼんやりと立つ彼の足下には、また別の青年が倒れ込んでいる。両腕を拘束され自由を奪われた、黒髪の青年。彼の眼鏡の奥に滲む瞳が、荒い吐息が、全身を打たれた痛みを堪えていると声なく告げる。緩慢に、金が黒を見下した。早く口を割ってくれ、青年の感情の無い声が落とされる。
「俺はあんたを傷付けたいわけじゃない……命令なんだ」
お願いだ、と呟くような言葉、機械的に振り上げられる金髪の青年の腕。それに呼応して、掠れた、恐怖する声が空気を揺らす。目を大きく見開いた黒の青年の眼鏡に映ったのは、彼の左右異色の瞳。そこには絶望にも諦めにも似た深淵の黒が溶けている。


20120503 狭い心/狭い部屋/狭い距離



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