白い錠剤の大量に詰まった透明な袋。男からそれを受け取り、ありがとうございますと微笑んだ女の三編みにした緑の髪が揺れる。構いませんよぉ、とへらり。気だるげに笑う男の瞳が撫子色の長い前髪から覗いている。男の、モルヒネの唇が言葉を続ける。
「こんな夜にくるなんて急なご病気かと思いましたよぉ。いつものお薬ですけどぉ、あってますよねぇ?」
ええ、と彼女、リーンが頷く。彼女の受け取った薬は全て鎮痛剤。常人なら酷い副作用に苦しめられるような薬を彼女は常用しているのだ。
「馬鹿な話ですねぇ、お薬に頼らなくてももっと効率的な戦い方があるじゃないですかぁ」
モルヒネが言っているのは、リーンが武器を持たずに戦闘を行うことだ。彼女が鎮痛剤を服用するのは病気か何かを患っている訳ではない。己の身体を武器とする格闘で戦う為に傷付く身体の動きが鈍らない為に、痛みを押し込める為に薬を飲むのだ。
「それでも、これが私の戦い方なので」
にっこり。リーンが微笑む。モルヒネも、そうですかぁ、とへらと笑った。


20120503 やわらかな刺



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