幾つもの手に床に張り付けられて、小柄の青年が冷たい床に仰向けに倒れている。
青の軍服を纏う少年の、表情を形作る筋肉は随分前から石のように強張って殆ど動かない。
ただ怯えの色が滲む紫と青の左右異色の目を前にと向けている。
彼は、胸まである長い眩い金髪を二つに分けて編み込む男性には珍しい髪型をしていたが、片方はとうにほどけて本来は真っ直ぐ伸びている金に緩やかな波を残しているだけだ。
髪紐はもう何処にいったのか彼にもわからない。
先程青の軍服を纏うと書いたがそれは恐らく間違いで、彼は確かに青い軍服の上着をやっと羽織ってはいるが、ブラウスのボタンは全て外れて、ズボンのベルトも解かれて引っ掛かっている。
晒された腹筋の薄い腹部にはどろりと生臭くて生暖かい液体が溢れてズボンまで白く汚していて、それがちらりとでも視界の端に入るたびに彼の青い右目から雫が垂れ落ちそうになるのだった。
手が青年の体をまさぐる。その汚い指が触れた瞬間、全身が粟立つ嫌悪感に彼は襲われる。
皮膚を厭らしく滑る手に無理矢理に身体の熱を上げられて、漏れる声を無理矢理押さえつけた。
残った片側の三つ編みを別の汚れた手に引っ張られて青年の身体が持っていかれる。にやついた舌が言う。

可愛く鳴いてみせろよ、「お嬢ちゃん」。


屈辱。羞恥。ぼろり、と溢れた涙。下衆く嘲笑う声に消えていった。


20120719 ルート ナナ


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