伏黒くんを揶揄ったら倍返しどころじゃないお返しが来た(伏黒×先輩)

 私、呪術高専の2年生!同期は真希ちゃんと棘くんとパンダ、それに海外に行ってる乙骨くん!まだまだ2級術師だけど頑張ってます!
 そんな私がハマってるのはこれ!「伏黒恵を揶揄う会」!!会員は私一人だけど、毎日そこそこに楽しませてもらっている。今日だってこれから揶揄いに行くところだ。

「一年生のみんなおっはよー!!恵ちゃんいるーー??」
「あ!先輩!いますよ!」
「ほら逃げるんじゃないわよ!男らしくない!」
「何すんだよ……あーもう」

 元気よく挨拶すれば野薔薇ちゃんと虎杖くんからのよい?お返事が返ってくる。一年生の教室に突☆撃するのはいつものことなので二人とも順応してしまった。さすが呪術師の卵だよね!先輩は鼻が高いぞぅ!
 対する恵ちゃんは、野薔薇ちゃんに制服を掴まれて強制的に着席させられている。心底迷惑ですって顔をしているのはもはやデフォになりつつあるんだよね。
 まあ高専入る前からなんだかんだで面識あったし、可愛い可愛いされたくないお年頃なのもわかるけど、そこはぐっと堪えてほしい。だって私の楽しみが減っちゃうんだもんね!

「おはよー!恵ちやーーん!!今日も可愛いねぇ!!」
「先輩、可愛いなんて男に言うもんじゃないっすよ」
「だぁーっ!!そうやって照れるところが可愛いんだよぉ!!二人ともそう思うよね??」
「んー俺はよくわかんない!」
「コイツ可愛いっていうの先輩ぐらいよ?」

 え?だって可愛いって言ったら耳を赤くして照れる恵ちゃん可愛くない??そっぽ向いちゃうところも合わせてベリーキュートじゃない??
 二人の同意が得られなかったことは残念だが、とりあえず今日も恵ちゃんが可愛い。よすよすしたい。さらさらなのかツンツンなのかよく分からない髪を撫でていれば、教室の扉が開く音。

「みんなおはよー!ってオマエまた来てるの?飽きないねぇ」
「五条せんせーおはようございます!今日も恵ちゃんが可愛い!」
「はいはい、オマエのそれは聞き飽きたよ。ていうか2年のホームルームとっくに終わってない?大丈夫?」
「えっ嘘そんな時間ですか??」

 スマホで時間を確認すればもうとっくにホームルームの時間は過ぎていたし、なんなら真希ちゃんたちからスタ爆来てた。あ、やっべ。

「じゃあ私はこれで失礼します!」
「うんうん、そうしな?オマエもいい加減にしといた方がいいよ〜じゃないと何があるか分かんないんだからさ」
「わかりましたぁ!!」

 そんな五条先生からのお言葉を背に教室までダッシュする。もうどうにもならない時になってその言葉を思い出すなんて、この時はこれっぽっちも考えていなかった。



 今日は晴天!買い物日和!ってことでお買い物にいくのである!荷物持ちには虎杖くん!心強いね〜!!
 るんるん気分で寮を出ようとすると、玄関先には恵ちゃんがいた。

「先輩、虎杖と付き合うってほんとですか」
「ん?」
「……虎杖が先輩と付き合うって言ってたんで」
「あ〜そういうこと」

 おっとこれは虎杖くんの発言から勘違いしたパターンだな??たぶん虎杖くんは「先輩(の買い物)に付き合うことになった!」とかなんとか言ったんだろう。
 そうだ!今日はまだ恵ちゃんにちょっかいかけてなかったから、これを利用して揶揄っちゃおうかな!

「……行くんですか、虎杖んとこ」
「行くって言ったら?」
「……」

 恵ちゃん黙っちゃった。いつもの照れてる感じも可愛いけど、今日の拗ねてる感じは初めて見るかも。結構レアじゃない??
 恵ちゃんの新鮮な反応を堪能しつつ、そろそろネタバレしてもいいかな〜と思っていた矢先、思わぬ爆弾が返ってきた。

「俺じゃ駄目、ですか」
「恵ちゃん……?」
「あんだけいつも俺にちょっかいかけといて、俺じゃない奴を選ぶのかって聞いてるんですよ」
 
 こちらへ向かって来る恵ちゃんの瞳は真剣だ。その迫力に気圧され、じりじりと後退してしまう。
 嘘だよ〜なんて言える雰囲気じゃなくなってしまった。そんなことに現実逃避してる間にも、私は壁際へと追い詰められてしまう。

「いや、その……」
「俺、先輩のこと、好きです。あんたがちょっかいばっか掛けて来るから。こうなった責任、取ってくれないんですか」

 か、壁ドンからの告白??え?いつから??ちょっと待って、お姉さん思考が追いつかないよ??
 てかちょ、超絶美しいご尊顔が近い近い近い……!

「わ、私、虎杖くんとは付き合わない、よ……?」
「は?じゃあなんで今日虎杖が」
「お出かけの、荷物持ち、で……」
「付き合うってそっちですか……んだよクソ、かっこ悪……」

 真剣な表情の次は顔が朱に染まる。恵ちゃんは壁ドンの体勢を解いて顔をおさえて横を向いてしまった。照れてるんだ可愛い〜!
 虎杖くんに向けてだろうか、「アイツ後で覚えとけよ……」なんて呪詛のような言葉が聞こえるけど私は聞かないフリをする。とりあえず心の中で手を合わせておいた。

「まあそういうことだから、行って来るね?」
「何そのまま行こうとしてんすか。俺の気持ちに対して、なんか言うことあると思うんですけど」
「えと、ちょっとまだ考えられないっていうか……」
「じゃあ意識してください。俺もう我慢しないんで」

 えっちょ、恵ちゃんのお顔が近すぎて気絶しそう。そしてさらに近づいて来るお顔。まってまってそれ以上はほんと無理だから!!
 ぎゅっと目をつむった私に恵ちゃんは吐息で笑い、トドメの一言を囁いた。

――せいぜい頑張ってくださいね、先輩?

 耳元で発せられた恵ちゃんのイケボ。今度こそキャパオーバーだ。気絶する間際に見た恵ちゃんの顔は、見たことがないくらいに満足そうだった。



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