企画 | ナノ



※例によって本番まであるガッツリえろではないですが、性的表現がございます。ご注意くださいませ。











つつ、と。額から滲んだ汗が、重力に従ってぽたりと落ちていく。額からだけではない。言葉通りに全身から汗が吹き出している。薄手のTシャツも、下着の中までもが汗だくで少々気持ち悪い。しかしこのうだるような暑さの中では、着替える気にもシャワーを浴びる気にも到底なれなくて。吹かない風を待ちわびながら、ただソファーにだらりと身を委ねている状態だ。


「あー……あっちぃ…」
「……21回目」
「…数えんなよ…」


先ほどから性懲りもなく暑い暑いと口にする彼は、自分の先輩にして恋人の黒崎蘭丸。彼もわずかばかりの風を求めて、自分の隣でTシャツをパタパタさせている。

ここは俺個人が所有する別荘のひとつで、都心からは結構離れた場所にある。今日から三日間、二人ともオフということで、ここへ遊びに来たのだが、しばらく使っていなかったせいかエアコンの調子が悪く、ここに来てすぐにうんともすんとも言わなくなってしまったのだ。扇風機なんて物もこの家にはなくて、俺たちはこの暑さを自然の風だけで過ごすことを余儀なくされた。

もちろん、エアコンなんて電話ひとつで修理しに来てもらえるのだが、せっかく二人きりになる為にここに来たのに、それを邪魔されるのは憚られた。そんなわけで今、俺たちは暑さの中何もする気になれず、ただソファーの上でうだっている。


「だあああ…仕方ねぇ」
「ん?」


するとランちゃんが突然、体を起こしてそんな声を上げた。その体にも汗が滴り、Tシャツが肌に張りついている。改めて見ると随分…何というか、色っぽい状態だ。

しかしそんなことを考えた次の瞬間、視界が反転して、ランちゃんの顔がいっぱいに広がった。ソファーの上に押し倒されたと気付くまでに数秒かかったのは、熱に浮かされていたからだろうか。


「ん…」
「ちょ、ランちゃん…!?なに、す…」


ランちゃんは俺の手首を掴みながら、唇を首筋に埋めてきた。首筋へのキスは情欲のキス。確かに自分と彼は恋人という間柄上、こういう行為に及んだことも数度ある。あるのだが、何もこんな蒸し暑い部屋の中で盛らなくてもよいのではないだろうか。


「……っ…、」


抗議の声を上げようとしたところで、ランちゃんは顔を離してこちらをじっと見つめてきた。その額から垂れた汗が、ぽたりと自分の頬に落ちる。赤い顔に、興奮してるみたいに荒い息、余裕なさげにひそめられた眉。すべて暑さのせいだと分かっていても、その姿が情事中の彼のそれと重なって、嫌でも胸がドキリと高鳴った。

ランちゃんの手が俺の手首を離したかと思うと、今度は服の裾をめくって、つつ、と五本の指で腹筋をなぞる。汗に濡れた肌をぬるぬると指が伝って、その緩やかな快感とも取れぬ感覚に、思わずびくっと体が跳ねた。どんどん奥へ侵入してくるてのひらが、くりくりと胸の性感帯までいじくり始めると、もう本格的に抵抗ができなくなる。


「はぁあ…っ!あぁ、ん、やぁ、ランちゃんっ…」


暑さで体に力が入らないせいか、いつもより声を抑えることができない。羞恥と快感と高い気温の為に、顔はこれ以上ないくらい熱くなっている。そこにランちゃんの顔がまた近づいてきて、ちゅう、と唇の自由を奪った。すぐに口内に舌が入ってきて、力なくゆるゆると舌を絡め合う。口の中があついのも、唾液がいつもよりぬるぬるしているのも全てきっと、この暑さのせいなのだろう。


「んんんっ……っ、はあっ、はあっ、はあ、はあ……ひぁ!?あっ、ちょ…!?」
「ん…っ、」


息苦しくなってきたころに唇が離される。しかし息を整える間もなく、ランちゃんはそのまま俺の額に浮かぶ汗をべろりと舐め取ってきた。おかげで一際高い声を上げてしまったが、ランちゃんは気にする様子もなく、額からこめかみ、首筋、喉仏へと続いて、鎖骨まで下りて滲む汗を舐めていく。


「やっ…!」


あつい舌が体中を這う感覚に、腰のあたりがぞくぞくと震えた。くすぐったくて身をよじっても、ランちゃんは夢中になったみたいに、舐めるのをやめてはくれない。生理的な涙が滲んで、汗と唾液と一緒に、こめかみを伝って落ちていった。


「ちょ……んんっ、やだぁ、や、やめて…きたないよ…!」
「ん…っ…はっ、ねぇよ……キレイ、だ」
「…っ…もう、ばかっ…!」


言葉で抵抗を試みても、ますます羞恥を煽られて終わるだけ。何が面白いのかランちゃんはどんどん俺の全身に顔を埋めていく。Tシャツを限界まで捲られて、脇やわき腹、乳首まで舐められ、もう情けない声が出るばかりだ。


「はあ、はあっ…はあ……らんちゃんの…ばか…」
「ん…甘かった、ぜ」
「もう…!」


ランちゃんは俺のお腹まで舌を這わせると、満足したのかやっとのことで顔を離した。俺の上半身は汗の代わりに唾液でベタベタで、下半身はすっかり反応してしまっている。キッとランちゃんを睨みつけても、余裕そうな笑みで返されるだけだった。


「はあ、はあ…。…責任、とってよね…」
「ん……ああ、ここも舐めてやるよ」


そう言って俺の下腹部をなぞったランちゃんにもう一度ばか、と返す。しかし止める気は起きなかった。うだるように暑い部屋の中でも、こんなに激しく煽られてしまったのだから仕方がない。きっとこの行為が終わるころには涼しくもなっているだろう。そう願って、俺もランちゃんのTシャツへとそっと手を掛けた。










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天城寺満月さまよりリクエストいただきました蘭レンです。どうやって本番まで書かないようにしようか、と考えたらこんな中途半端な終わり方になってしまいました。すいません。でもこれ以上は書けません。

リクエストありがとうございました!フリー作品ですので、リクエスト頂いた方以外の方でもお持ち帰りいただけます(いらっしゃればですが!)





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