会話文・小ネタ詰め | ナノ



早朝6:30。普段ならばこのような時間に来ることなどは無いが、不覚にも忘れ物をした為、そしてそれが今日の朝から入っている仕事で必要な物だった為に俺は今レッスン室まで来ていた。


「ここだな………む?」


昨日使ったレッスン室の前まで来たのはいいが、明かりが点いている上に話し声が聞こえる。まさかこの時間に先客がいるとは。


「あ、アイアイ……もうっ無理…!も、やめよ?」


ドアの向こうからかすれた声がする。これは、寿か?それに美風らしき声も聞こえてくる。


「駄目。まだまだ足りないよ…レイジが」
「そんな…っ、もう、出ないからぁっ…!」


ん…?何だ…この妙な会話は。


「ほら、早く」
「だって昨日からずっと…体もたないよぉ…」


「きっ貴様ら!何をしている!」


ばあん!!


「ん…?」
「え…ミューちゃん…?」
「カミュ。ああもしかしてこの台本を取りにきたの?カミュが忘れ物なんて珍しいよね」
「あ、ああ、そうだが…」


勢いよく扉を開けて中に入ると、やはりそこには寿と美風がいた。いたのだが…。


「…何をしているのだ」
「何って…。そうだね、実験と調査かな」
「も〜アイアイったら……げほっ、昨日からずっと歌わせるんだもん」
「歌…?」


予想が外れたことは非常に良かったが(何を予想していたかは言わせるな)、美風がこんな時間まで寿に歌わせていたというのは、一体どういうことなのだろうか。


「うん。あのね、最近レイジの歌を聴いているとおかしいんだ。ボクの体にちょっとした異常が出るんだよ。たいてい起こるのが脈拍、心拍数の上昇。それから若干の体温の上昇も。これらの反応から推測するとボクは軽めの興奮状態に陥っていると考えられるんだけど、その理由が全く分からないんだ。なぜ最近になってボクがレイジの歌を聴くと、このような状態になるのか。もとい、なぜレイジの歌声に興奮するのか。さらに加えてレイジの歌を聴いているとき以外にも、レイジのそばに居るときに同じような症状が起こるときもあるんだけど、それはひとまず置いておいて──その悩みとでも言うべき謎を解明するために、ボクはレイジの歌声を徹底的に調査・統計し、結果を導きだす必要がある。だからこうして付き合ってもらっていたんだ」




……………。


「も〜アイアイったら気のせいだって言っても…けほっ、信じてくれないんだもん」
「だって毎回起こるんだよ。気のせいのはずないでしょ」
「…………」


これは…なんというか、明らかに…。


「むむ…やはり納得いかない…どうしてボクが…」
「ねえ、さすがの僕ももう歌えないよ…?」
「! しまった。今日がオフとはいえ仮にもアイドルであるレイジの喉を酷使させすぎたか。仮にもアイドルなのに」
「ちょっアイアイっ仮にもって言い過ぎっ!もっと労ってよ〜!」




「………結局ただのバカップルではないか…」
「ん?カミュ、何か言った?」
「いや何も。せいぜいゆっくりしているがいい」
「?」




────
2013.5/30〜6/12の拍手お礼文でした。アイミーちゃんに長いセリフ言わせるのって楽しいですね!またやります!





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