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好き、大好き。


「…でさー、良いとは思うんだけどやっぱ色々きついこともあるよな?」


君の仕種だとか話し方だとか思考だとか、そういうのが愛しくて堪らなくて。


「…だからその方がいいとは思うんだけどなー…今悩んでんだ。」


君のことをこんな目で見始めたのはいつだっただろう。何とも思ってなかった頃が今は懐かしいよ。


「な、半兵衛はどう思う?」
「うん、」


なのに──…なのにどうして、




「どうでもいい」
「ひどっ!」


──どうして僕は君に素直になれないんだろうか。







片想いシンドローム






「何だよー!人が真剣に悩んでるってのに!」
「僕はどっちでもいいし、決めるのは君でしょ?」
「むー…」


五月。二年進級の始業式から1ヶ月程が経ち、皆がクラスに馴染み始めたころ、僕は何故だか慶次くんと一緒に過ごすことが増えていた。まあこちらとしては全然嬉しいのだけれど。理由は前述を参考にしていただきたい。

そして今現在昼休み。僕は慶次くんからとある相談事を受けていた。


「…君が寮に入ろうが入らまいが、僕はどちらでもいいよ」


──そう。寮に入るか否か、でだ。

ここ 婆沙羅学園高等部では本校舎とは別に学生寮が設けられているのである。一人部屋で割と広く、一階に昼夜経営している学食まであるので生徒たちからそこそこの人気を誇っている。

さて、慶次が何故その寮に入るかを悩んでいるのかというと。実は慶次がお世話になっている叔父と叔母が帰郷することにしたそうなのだ。慶次はこの地を去ることなど更々考えてはおらず、残された選択肢は二つ。一人暮らしを決意するか、学園の寮に入るかである。


(…慶次くんだったら寮に入った方が良さそうだけど…)


正直 半兵衛にとっては慶次が寮に入るのは反対なのである。理由というのは聞かないであげてほしい。決して最近になって朝一緒に登校するまでになったのに離れるのが寂しいだとかそんなことでは無いはずだ。決して。


(家事も部屋の掃除ぐらいで済むし、政宗君に真田くん、たしか長曾我部くんも寮生だったはず…)


一人暮らし、となると掃除の他に料理に洗濯などをする必要がある。寮では洗濯は学校に行っている間に済ませておいてくれるし、料理は先程述べた通り学食がある。それに慶次くんと親しい人たちも寮に入っているのだ。学校からの距離も近いので通学の不便もない。考えて見れば何を躊躇する必要があるのだろうか。


「…何でそんなに迷ってるの?」
「え…っ……そりゃあ、さ」


率直に、努めて何とも無いように聞くと、慶次くんは答え難そうに目を反らした。それが不思議でじっと見詰めていると、気のせいか慶次くんの顔が少し赤い気がする。


「………だって、…」

「…だって?」


すると慶次くんは目を反らしたまま、彼に似合わない小さな声で呟いた。昼休みのざわめきの中でそれは掻き消されそうになったけれど、聞き取れてしまった僕は自然と目を見開いていて。きっと今顔が赤い。




「君と離れるのは寂しいから」
(それってどういう意味なの…?)
(やっぱ変に思われたかな…)





――――

………はい。短い!やっと出来たと思ったら短い!しかも最後の方ちょっと伝わりにくいような…。

何だか続きそうな気がします。気がするだけです←





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