うとうと、うとうと、と。
まるで教室中が眠気に包まれてるみたいに。午後最初の授業、古典の時間は皆がまどろんでいた。
四時間目のハードな長距離走の後、お昼ご飯を挟んで、呪文のような言葉が繰り返される古典の授業。おまけに窓からは春の温かい日差しが差し込んできて、これでは眠れと言っているようなものだ。もう少し時間割の配慮をして欲しいものである。
「次の問題を解ける者〜…居ないでおじゃ?ではまろが…」
教科担当の今川先生は、気付いているのかいないのか、只単に自分が喋りたいだけなのか、眠りこけている生徒たちを起こそうとも叱ろうともせずに授業を進めていく。
あ、今猿飛君が落ちた。旦那にノート見せなきゃいけないから、と今まで眠気と格闘していたみたいだけど、遂に諦めたのか堂々と机の上に突っ伏している。
(…これで後は、)
我は絶対に居眠りなどせん、と言っていた元就君と、体育の授業を休んでいた僕だけだ。その元就君は黒板に近い席で必死にノートを取っている。
「、半兵衛」
…と、そんな光景を一人ひそかに楽しんでいると、不意に後ろから声をかけられた。この声は間違いなく彼だろう。しかし、よりによって彼がこんな時間に起きているとは到底思えない(失礼)。
振り向くと案の定、腕を枕に夢の中だ。寝言か何かだったのだろうか。
「……慶次くん、」
こちらから声をかけても起きる気配は無く、相変わらず気持ち良さそうに眠っている。窓から流れ込んできた温かい風が、彼の長髪を撫でていった。
起きている人などは殆どおらず、先生は教科書片手に黒板に夢中だし、本人も起きる気配はない。麗らかな春の空気は何となく、やけに甘ったるいような気がした。
いつも口を開けば口論ばかりしているけれど、このときばかりは目の前で平和そうに眠りこける恋人が愛しく感じられて。
春風になびいたカーテンに隠れて、君にそっと口づけた。
それはきっと春のせい
起きたら、次は君からね。
――――
書き上がってたのに何故かアップしてなかった半べ視点慶半。
短いけど学パロでこういう雰囲気のものを書くのが好きです(´・ω・`)
半兵衛可愛いよ!
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