いつもと同じようにケーキが一杯入った箱を持ってカミュの部屋を訪ねるレン。
「今日のケーキも美味しいと評判のお店だけどバロンは気に入ってくれるかな‥」
歩きながら呟いていると目的の部屋を通り過ぎてしまうところだった。
「危ない危ない‥、バロン入っても良いかな?」
声をかけると入れと入室の許可が出たので扉を開け中に入り扉を閉める。
「ふむ、時間通りか‥さすがだな神宮寺」
「俺は約束は守る主義でね、‥はい今日のデザートだよ」
そう言いながらカミュにケーキの入っている箱を手渡す。
「貴様の持ってくるデザートはどれも美味しいからな、少し待っていろ今飲み物を持ってくる」
嬉しそうな表情でケーキの箱をテーブルに置くとキッチンへと向かう相手を見送ると椅子に座る。
「あんなに喜んで貰えたら俺としても嬉しいけどね」
先ほどの様子を思い出しながらレンは微笑んだ。
しばらくするとカミュがお茶と皿やフォークを持って戻ってきたので手伝おうと立ち上がる。
「バロン、手伝おうか?」
「大丈夫だ、貴様は座っていろ」
「でも‥」
「‥貴様は俺の大事な恋人だ、素直に座って待っていてくれ」
「っ!‥分かったよ」
゛大事な恋人゛ーそのセリフにレンは顔が真っ赤になった。
大人しくなったレンのことが気になりつつも準備を終えたカミュ。
「用意が出来たぞ」
「あっありがとうバロン」
「では、頂こう」
「頂きます‥、うん苺が一杯入ってて美味しいよ。バロンは?」
「ふむ、そうだな‥生クリームが程よい甘さで気に入ったあとで店を教えろ」
「了解、種類も多いからきっとバロンも選ぶのを迷うと思うよ」
「なに!それほど種類が豊富なのか!‥くっくっいまから楽しみだな」
楽しげに笑うカミュを見ながら自身も笑いながら店の場所を教える。
「なるほど、少し遠いが問題ない‥ところで貴様口の横にクリームが付いてるぞ」
「えっ!どこに付いてるのか教えて貰えないかな?」
「貴様の口の横だと先ほど言っただろう、もう少し横だ」
指摘された口の横を布で拭くが取れない、その様子に溜め息を吐き椅子から立ち上がるとレンの隣に座り自分の舌で舐めとる。
「取れたぞ‥なにを驚いている」
「‥いきなり舐められたら誰でも驚くと思うよ」
「そういうものか‥しかし神宮寺のケーキは美味しいな‥次は貴様を味わうか」
「んっ‥」
カミュは言い終えると同時にレンの唇を塞ぎ少しずつ深いキスになっていく‥。
やがて満足したのか啄むようなキスでカミュはレンから離れる。
「っん‥、カミュってさキス魔だったりする?」
「どうだろうな‥、神宮寺以外としたことがないからな‥分からん」
「でもカミュの体温は気持ちが良いからこれから傍に居たいって思うよ‥」
「気持ちが良いなどと言うのは貴様くらいだ、ーこの体温が恋しくなったらいつでも来い‥待っているぞレン」
「ありがとう、カミュ。遠慮なく遊びに来させてもらうよ」
作った笑顔ではなく自然な笑顔を見せるレンにいつの間にかカミュも自然と笑っていたーー。
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