Even if I change so much, love me without changing.

「ねえ、真ちゃん。もしも話をしようよ」

そう高尾が言い出したのは、とある休日の昼下がり。
暖かい日差しが差し込んで、なんとも眠くなる時間帯だった。

「なんだ。それは」
「その名の通り、もしもの話だよ。しようよ、と言うより、するから聞いていて、の方が正しかったかな。まあ、いいや。あのね、」

そこまで言って、高尾は緑間の肩に体を預けた。緑間も、押し退けるようなことはせず、読んでいた本を閉じて、静かに目を瞑る。



俺ね、考えたんだ。
もしも、真ちゃんの目が見えなくなってもね、俺、真ちゃんの前では笑顔を絶やさないよ。
真ちゃんが、ずっとずっと笑顔でいられるように。

もしも、真ちゃんの耳が聞こえなくなっても、たくさん真ちゃんに話しかけるし、真ちゃんの為にたくさん歌を歌ってあげる。
俺の想いが、ちゃんと真ちゃんに伝わるように。

もしも、真ちゃんが声を失っても、俺、真ちゃんの声に耳を澄ますよ。
真ちゃんの想いに気付かなかったら大変でしょ?

…え?何?もしも話は好きじゃないって?
そうだなあ…うーん、ま、真ちゃんの目も耳も声も、何が正常に働かなくたって、何の見返りもいらないし、傍にいてくれるだけでいいってことだよ。
ていうか、まだ話は終わってねーの!…いい?

あとは…そうだなあ。
もしも、この先ずーっと真ちゃんの傍にいられて、二人がおじいちゃんになって、真ちゃんに死が近付いたら、俺は一足先に命を絶とうか。
だって、俺の大切なエース様が外の世界に行ったとき、迷っちゃったら大変じゃん。
だから、俺が先に外の世界に行って、のんびり探検なんかして、真ちゃんが来たら案内してやるよ。

…こんなもしも、不謹慎かなあ。
でもね、あのね、俺、これからの人生も、その先も、真ちゃんにあげられるほど真ちゃんが大好きだよ。



「……しかし、俺はこの通り健康体だ。そんな"もしも"は戯れ言なのだよ」
「うん、そうだね。きっと俺が言うことはただの杞憂で、どんなにおは朝で運勢が悪くたって、真ちゃんが目を、耳を、声を、失うこともないんだろうね。でもね、そうじゃなくてね。
この広い世界には70億人も人がいて、その中で誰でもない真ちゃんを好きになって、その恋が実って。こんなに、どうしようもなく、泣きたいくらい真ちゃんを好きでいられるのって、奇跡だと思うんだ」
「………」
「あのね、真ちゃん。信じてほしいの。きっと、俺ね、……真ちゃんを、愛するために生まれてきたんだと思うんだ。」
「……そうか」

緑間が、閉じていた目を開けた。
そっと、本当に大切なものを扱うような手つきで高尾の頬をするりと撫で、自分の方を向かせると、優しく口付ける。
高尾がふわりと笑うと、緑間も微笑む。
緑間が、告げた。

「じゃあ、俺は、」










(お前を愛するために生きていこうではないか。)









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2013.9.30 二万打感謝小説
タイトルはLINE英語通訳様を利用し、すこっぷ様作曲の「もしも話/初音ミク」をイメージして執筆致しました。
タイトル訳は「どんなに私が変わっても、変わらず私を愛していてね」











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