緑高夫婦の子供がバスケ下手だったら
2013/05/30 07:43





・息子が高校2年の冬、WCのレギュラー発表されたくらい
・同級生に青黒夫婦の息子がいる(もちろんスタメン)
・娘はホークアイが遺伝してる

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父さんみたいに、母さんみたいに、頑張っていたら、きっと。いつか。
絶対報われるんだ。
いつか、きっと…いつか…

でも。

そのいつかって、いつなんだ?

「もう、やだなあ…」

バスケをするのが怖くなったのは、いつからだったか。

―――

「あのさあ、父さん…」
「…なんだ」
「……俺さ、…バスケ、やめようかなあ」
「…何を言ってるんだ」
「…あ…ごめん、なんでもない」

うわごとのように発した気持ち。
だけどそれは、ずっと考えていた。
シュート練もパス練も体力作りも散々やった。それでも上手くなれない。平凡以上になれない。

いつになったら父さんと母さんを喜ばせられる?

俺は元キセキとその相棒の間に生まれた子供で、周りの期待は痛いほど伝わってきた。
でも、成功率100%のシュートも、広い視野を使ったパス回しも出来なかった。
周りの戸惑い、失望。
"なんだ、この程度か"
俺がベンチにも入ってない、練習試合で出されてもらってもたいした活躍が出来ない。そう知った人たちの目が責めているようで、父さんや母さんにどれだけ励まされてもバスケが上手くなれないのが怖くてたまらないのは変わらなかった。

―――

「和真、お前部活休んでるらしいな」
「っ、」
「……休んでどうする、休んでいる間他の部員は練習しているんだぞ。レギュラー入りたいんだろう」
「あ…ごめん、明日から…行く、から」
「全く…努力を怠るなど、言語道断なのだよ。ただでさえお前は多くの期待がかかっていんだぞ?青峰の息子はスタメンに入っているのに…」
「ちょっと…やめなよ真ちゃん。和真にプレッシャーかけないで」
「………」

父さんのため息が聞こえた。その瞬間、ぐらりとめまいのような感覚を覚える。カタカタと手が震えだした。

「…父さん」
「ん?」
「レギュラーとか、スタメンとかさ…もう、諦めた方がいいんじゃない?」
「…なんだと」

父さんが新聞を読むのをやめた。怒気を含んだ目でこっちを見てくる。

「父さんだって分かってるんでしょ、俺に才能がないの。いつまで夢見てるの?」
「和真、俺が諦めるという言葉が嫌いなのは知っているだろう」
「それはさあ、努力が報われる人が出来ることじゃんか」
「努力が報われないからバスケ部をやめるなんて言い出したら許さんぞ!」

バン!!
父さんが食卓を叩いた音が響いた。その音を聞き付けた妹が様子を見に来た。

「…父さんには分からないだろうね。努力しても努力しても報われない虚しさや先が見えない不安なんて」
「和真、なんてこと言うの」
「…っ、母さんも!お前も!」

急に指差されたことに、妹がびくりと肩をすくめる。

「努力して報われてる奴らに!俺の気持ちが分かるかよ!昔から誰よりも努力してきた!それを評価してもらおうなんて思ったこともなかった!それでも報われない、認められない!……俺は、いつまで頑張ればいいの…?」

いつの間にか俺は、泣いていた。父さんは呆気に取られて固まっている。

「かず、ま」
「もうどうすればいいか分からない。俺さ、もうバスケ楽しくないんだ。…父さん、母さん、期待に応えられなくてごめん」

そう言い残して、家を飛び出した。
…さあ、行く宛もないんだけどどうしようか。











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こんな話を長編で書きたいけど飽き性の私に長編なんて無謀すぎる







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