最後の日、始まりの日(宮高)
2013/12/05 01:35





これが緑間の言う人事を尽くした結果というやつだろうか。まるで三年間最後の日を彩るような晴天。

今日、俺たち三年生は、秀徳高校を卒業する。



3月の体育館は寒い。
それに卒業式という緊張感も加わって、体育館にはピンと張りつめた空気が漂っている。式は三年間をぼんやりと振り返っている内に着々と進んでいった。多くの女子が、顔をぐしゃぐしゃにしながら泣いている。男子も、ちらほら。

(卒業か…)

よりによって三年間殺人的な練習をしてきた体育館での卒業式。シャトルやボールが引っ掛かっている天井。今日は収納されているゴール。振り返ると見える倉庫には、すっかり手に馴染んだバスケットボールが息を潜めている。
バスケの事を考えたら、途端に鼻がツンとした。最後まで全国優勝は出来なかった。この前入学した気がするのに、もう卒業か。三年間なんて、あっという間だ。





「宮地サン!」

式も終わり、最後の終礼も終わり。友達との別れもそこそこに校舎を出ると、高尾が待ち構えていた。珍しく、横に緑間はいない。

「卒業おめでとうございます!」
「おー、ありがとさん。緑間は?」
「真ちゃんは木村サンと大坪サン担当です。俺は宮地サン!はい、花束!」
「サンキュな」

渡された花束のような笑顔。
明日からは、この笑顔は傍にいない。

「宮地サンは、大学、九州行っちゃうんですよね…」
「…まーな。ナニお前、寂しいの?」

茶化すようにそう言うと、ぐしゃりと高尾の顔が歪められる。

「…………寂しい、ッス」
「…………そっか」

泣かないようにしているのが、よく分かった。噛み締めていた唇を、そっと撫でる。潤んだ瞳と、視線が絡んだ。

「あのさ、これ」
「―――え」

第二ボタン。数人の女子から欲しいと言われたが断って守ったソレを、高尾の手に落とす。

「今さらだよなーほんと。お前、緑間の事が好きなんじゃねーのかって、怖くてさ。言えなかったけど…」
「みや、じさ…」
「はは、何その顔。いつもみたいに笑えよ、轢くぞ」
「だって、うそ、なに、夢?」
「バーカ。夢だったらマジ轢くから。…高尾、好きだ」

ぶわっ、と、高尾の目から涙がこぼれ落ちた。しかし、高尾は涙をぬぐうことなく、こちらを見つめている。

「宮地、サン」
「なんだよ」
「俺…嬉しくて…死んじゃいそー」
「死んだら殺す」

ふっ、と笑って、抱き締めた。そしたら、高尾がわんわん泣き出した。ガキかっつーの。

「リア充爆発しろ、なのだよ」
「宮地、お前ここが校庭だってこと忘れてるだろ」
「お前たちやっとくっついたかーおめでとう」

後ろからやってきたのは、お馴染みの三人。実はずっと気付いてた周りからの視線に今さら照れながらも、ニヤリと笑った。

「うるせー、轢くぞ」










(寂しさと嬉しさと恥ずかしさと)










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初めての宮高でした。宮高ってこんなん?ていうか何故に卒業式?ていうかなにこの急展開。
THE☆行き当たりばったり。
宮高もっと書いていきたいです。いずれは黒高とか青高とか黄高…







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