こんななんでもない日常が一番幸せなの
2013/07/01 20:40





ズダンッ!!

ボールが床を激しく叩く音が聞こえて、ああ、緑間のシュートがまた決まったのかとぼんやり思った。
マジで殺す気なのかと言いたくなるような鬼畜な練習後、歩くのもしんどくて体育館の隅にへたりこみ、どうせ緑間の自主練を待つのだからいっそ寝てしまえと目をつむっていたのだが、淡々とシュート練を続ける緑間のシュートの音がうるさくて寝られやしない。もっと優しくシュートが撃てないのかと文句を言ってやりたくなる程だ。

「…高尾、パスを出せ」
「は?やだよ、馬鹿じゃないの」

何十回目のシュートを撃ちふいに振り返った緑間の申し出をそう断ると、不機嫌そうに眉根を寄せた。小さく舌打ちが聞こえ、緑間が近付いてくる。

「馬鹿とは何なのだよ、高尾。相棒のお前が人事を尽くすのを怠ってどうするのだ」
「やぁーだー!俺もう動けねえの!寧ろお前なんでそんな体力あるわけ!?」
「俺が体力があるわけではない。お前が体力が無いんだ」

ほら、起きろとうつぶせになっている俺の背を緑間が軽く踏む。いたい、と文句を言うと更に背中を圧迫された。

「もう、暴力反対!高尾ちゃん泣いちゃうんだから!」
「うるさい高尾ちゃんとか言うな気持ち悪い。早く起きれば済むことなのだよ」
「わーん、真ちゃんがいじめるう」
「気色悪いのだよ…」

ため息まじりにそう言われ、ちらりと緑間を見上げる。呆れ顔の緑間と目があった。

「…高尾ちゃん、真ちゃんからちゅーされたらもれなく自主練付き合っちゃう」
「………」

冗談半分でそう言ったのに睨まれた。怖い。

「文句言うなよ」
「へ?…えっ、ちょっ」

冗談だってのに、いや半分本気だったけど、緑間というやつはマジで馬乗りになってきやがった。慌てて暴れるも、上に乗られたら緑間に太刀打ちなんて出来るはずもなく、されるがまま仰向けの体勢にされて間髪入れず口を塞がれた。ぬるりと口内を犯される。

「ふぅ…ん、しん、ちゃ」
「お前が言ったんだからな」
「そんな冗談、ひぁっ!?」

べろりと首を舐められ意図せず変な声が出た。恥ずかしくてたまらなくて顔を真っ赤にしてしまう。緑間はしてやったりとでも言うようにニヤリと笑うと「ほら、練習するぞ」といつもの定位置まで戻って行ってしまった。

「…っ、こんの、むっつりえろ魔人ー!!!」

がばりと起き上がって力一杯投げたボールは、涼しげな顔でひょいと避けられてしまった。









2013.6.10 緑高の日 ボツ作品




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俺がいて、お前がいて、それで十分なんだって。

緑高の日に書いたけど納得がいかなくてボツにした作品です。消すのはかわいそうだからこっちにうp。







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