ただ運命とは呼ばないで
2013/04/27 23:22





俺たちの出会いを真ちゃんは運命だと言った。
ただ、真ちゃんが人事を尽くし天命を待った結果だと。

「でもさ、それって何か寂しくねえ?
「…なにがだ」
「だってさあ…」

だって、運命だったと言うことは。ただ俺たちは偶然出会って、偶然一緒にバスケをしていて、偶然相棒という関係になっている。そういう考えも出来るのではないだろうか。
運命とは不思議で素晴らしいものだとも思うけど、運命には逆らえないことを考えると、結局俺たちの全てがただの偶然だけで構成されてきたものだと思えてきてしまう。なんだかそれを、俺はすごく寂しいものだと感じたんだ。

「運命と偶然って違うようで似てる気がするんだよ。どんな運命の出会いだって、考えてみればただの偶然だろ?」
「…馬鹿かお前は」
「へっ?」

真ちゃんが呆れたように俺を見た。目の前の運命至上主義者の言葉を待つ。

「運命を偶然と一緒にするんじゃない。確かに運命とは偶然と似通っているが、全然違う。偶然はたかが偶然だが、運命は運命だけでは終われない」
「…うん?」
「…俺は、お前と偶然出会い、相棒とまでなった。しかし、出会ったのは偶然だが相棒となったのは偶然ではない。俺は自分の意志でお前を側に置いている」
「…うん」
「偶然は待っていたらやってくるが、運命は待っているだけでは駄目だ。やはり、人事を尽くしてやっと運命の女神が微笑むのだ」
「なんかポエマーだな真ちゃん」
「…こんなときまで茶化すな…まあいい。つまりだ。運命とは、切り拓いていくものなのだよ、高尾。偶然とは違う」
「…なるほど」
「…俺は、お前と一緒にいるという運命を選んだ。無論、俺の意志で。そして、これからもずっと一緒にいたいと思っている。…そんな運命は嫌か?」
「………っ、…嫌じゃ、ない」
「…そうか」

真ちゃんがふわりと笑った。真ちゃんの言う運命が、必然になり、現実になればいいと心から思った。










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title by 空想アリア様

運命について色々考えた結果です。ちょっとよく分かんないですね。







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