Kに至る鍵
 白く高級な布地のクロスが掛けられたテーブルを挟んだ向かい側、必要以上に緊張した面持ちでナイフとフォークを操るレイアの姿にアルヴィンは小さく笑った。少し苦笑混じりに。
 視線を横に向ければ大きなガラス張りの窓の外でビロード紺の空に街の灯りが、色とりどりの宝石を砕いて散りばめたみたいに輝く夜景が広がっている。時刻はもうはっきりと『夜』と分類していい頃だろう。確かここにやって来た時にはまだ夜とははっきり言い切れない時刻だったはずだから、結構な時間をここで過ごしているという事になるか。
 互いの気持ちを確かめ合い、晴れて恋人と呼べる間柄になり本格的な同棲を始めた二人は、改めてあの時お流れになってしまったディナーデートを楽しむべく某ホテルにやってきていた。アルヴィンの目に映った、艶っぽさを感じさせる夜景はそのホテルの上階からの眺めだ。
 視線を正面に戻す。レイアは相変わらず緊張の面持ちを崩さないまま、皿の上のメインディッシュをナイフとフォークで解体していた。本当に『解体している』という表現が相応しいと思う。
 確か元は『合鴨のソテー フォワグラとオレンジソース添え』だったはずのそれはやたら小さく細切れにされてしまって殆ど原型を留めていない。だというのに、小さくなったそれは一向にレイアの口には運ばれていかないのだ。普段の彼女なら適当な大きさ(むしろちょっと大きすぎるんじゃないかというサイズ)に切ったメインディッシュをぽんぽんと、それこそ頬袋にひまわりの種を詰め込むハムスターみたく口の中に放り込んで、もしゃもしゃと咀嚼しては「美味しい!」と嬉しそうに頬を緩めるはずなのに。
(随分緊張してんな……まあ、仕方ないけど)
 メインディッシュが運ばれて来てから言葉少なになり、殆ど目を合わせなくなったレイアの格好を改めて見詰める。
 ボルドーレッドの大人っぽいワンピースはこの少々艶っぽい夜の雰囲気によく合っている(まあ、レイアの態度はそうとは言えないが)。以前、初めてこの服を着ている彼女を玄関で発見した時は状況が状況だったせいでゆっくりと確かめる事が出来なかったが、レイア本人は似合っていないかもしれないなどと気後れしていたその服はぴったりと滑らかな肌に馴染んでいて、少しも着られているという感想は浮かんでこない。素直に似合っていると思えた。出逢った頃の、十五歳の彼女では着こなせなかっただろうそれが肌に馴染む辺り、やはりレイアも大人になっているのだと視覚的に実感させられた。
 もっとも、今日はこれから更に大人への道を一歩進む事になるのだろうが、とそんな事を考えつつ、スーツのポケットに手を入れながら俯いたままのレイアに声を掛けた。ポケットの中を弄る指が硬質な感触を捉える。
 あの日、レイアに贈ったマンションの鍵と同様の感触。この鍵もまた、あの時と同じように二人の心の扉を開くのだろうか。きっとそうなのだろう。
 今日、アルヴィンは宣言通りにディナーだけではなくホテルの一室にも予約を取っている。この後運ばれてくるデザートを片付けたら今夜はそこに泊まる予定。レイアが緊張しているのもそのせいだ。
「レイア、いい加減食わないとそれ以上小さくなっちまったらフォアグラの味しねぇぞ」
「へっ? あっ、……う、うん……」
 びくん、と剥き出しの白い肩が跳ねる。慌てて細切れになったメインディッシュを片っ端から口に放り込むレイアの姿に、これではどちらにしろフォアグラの味は堪能できていないだろうなと思った。今日のディナーは結構奮発したのに勿体無い、なんてちょっとばかりセコい感想を抱いてしまうのは今のアルヴィンがしっかりと商売人として生きている証かもしれない。
 外見を取り繕うよりも素直に誠実に生きていたいと思う気持ちはレイアの恋人になってから尚更強まった。少し前に『恋人の癖は移る』と言われた事があったが、性格的な部分もやはり似たりするのだろうか。目の前で緊張を隠せずにいる恋人は体面を取り繕うのが兎に角下手で、不恰好な程の本音を全力でぶつけてくる人間だ。かつてそれを格好悪いとか、面倒くさいと思っていたはずの自分も似たような状態になってしまったのだから不思議なものだ。いや、……もっと不思議なのはスーツの下で微かではあるが速くなっている鼓動かもしれない。こんな状況もう幾度も経験してきたというのに、年甲斐も無く緊張しているなんて。
 そんな自分を馬鹿だなと思いつつも好ましいものだとも思えるようになったのはアルヴィン自身が自分を好きだと思えるようになった事と、自信を持てるようになったからだろう。レイアがアルヴィンの事を「好き」だと言って微笑う度、それらは胸の中で大きくなっていったから。アルヴィンのレイアを愛しく思う気持ちと同じだけ。
 まろやかな琥珀色の照明に照らし出されたレイアの肌はシャンパンを軽く飲んでいるせいもあってほんのりと薔薇色。まだ何処か子供っぽい甘さの残る顔に、艶を感じさせる頬の照りの絶妙な組み合わせは何とも言えない魅力で持ってアルヴィンを誘ってくる。端的に言ってしまえば性的な興奮を抱かさせる。全てを手に入れたいと思わせられる。
(それで年甲斐も無く緊張しちまって、俺もまだまだ若いって事かね……)
 けれど、そう、恋人は十一歳年下なのだ。若くあってもいいだろう。そう結論付けると、少し鼓動を落ち着かせる意味も込めて空になっていたワイングラスにシャンパンを注いだ。同様にレイアのグラスにもシャンパンを継ぎ足し、ポケットの中の鍵を添えて彼女の前に滑らせた。
 目の前に現れた鍵にデザートのバニラアイス、ナップルソルベを添えたピーチパイを食べていたレイアのスプーンが止まった。鍵を見詰めたまま一、二秒固まった後、まだ継ぎ足されたシャンパンを飲んでもいないというのに、ぼふっ、と頬が真っ赤に染まった。想像したのだろう、色々と。
(本当、初心だよなぁ)
 グラスを傾けつつそんな感想を抱く。けれど、少しも面倒と思わないどころか寧ろ可愛いと思えてしまうのだから、人の気持ちや縁というものはどこでどう変化していくのか分からない本当に不思議な、まるで一個の生き物のようなものだ。レイアとの縁を結びなおした時にアルヴィンの中で生まれた欠片みたいな小さな想いがこんなに大きくなって、彼女の良い面も悪い面もひっくるめて愛しく思う日が来てしまったのだから。
「これ……その……」
 こくり、と唾を飲み込み、躊躇いつつも鍵に手を伸ばすレイアに向かって、あまり欲望をギラつかせないように気をつけながら答える。
「約束した通り、ホテルの部屋予約してあるよ。けど、レイアがまだ無理だってんならこれ以上の無理強いはしないつもりだけど」
 気分的にはもうしっかりとスイッチはオンになっているけれど、そう口に出来る(実際レイアが望むなら本当に無理強いはしないつもりでいる)のは重ねて来た経験のお陰と、少しばかりの大人の余裕。
「どうする?」
 やめとく? それとも――、言葉の途中で鍵に向かっていたレイアの手が方向転換し、並々とシャンパンが注がれたグラスを掴んだ。アルヴィンが何か言うよりも早く、ぐいと一気飲みしてしまう。
「お、おい……大丈夫、」
「アルヴィン!」
 再び言葉を遮る形でレイアが大きめな声で名を呼んできた。突然の事に「へ、あ、何……?」とちょっと間の抜けた返事をしてしまった。
 こちらを見据える顔、頬が濃い朱に染まっているのは一気に飲み干してしまったシャンパンのせいか、それとも……。瞳もとろんと蕩けているように見える。少しグロスの取れ掛けた柔らかそうな唇が言葉を紡ぐ。
「わたし、胸おっきくないからね」
「は?」
「色気だって全然ないし、ちっとも大人の女の人なんかじゃないけど、でも……」
「……」
「それでも、アルヴィンが望んでくれるなら……その、わたしのぜんぶ、貰って……ください」
 最後の方は殆ど掠れてしまったその言葉にアルヴィンは「ああ」と納得のいく想いがした。
 俯いて言葉少なになってしまったのは何も恥ずかしかっただけでは無かったのだと。以前から軽い調子で口にしてきた(それこそ定型文のような)アルヴィンの女性の好みを真に受けて自分は該当していないのだと思い、幻滅されてしまうよりも早くその事を伝えなければとずっとタイミングを計っていたのだろう。そうしてようやくシャンパンの勢いを使ってその機会を得た。それがどれだけ大胆で破壊力を持つ誘いへの返事になっているのかにも気付かないままに。そういう不器用で素直な部分が今のアルヴィンにはただ愛しかった。
 心許ない表情でアルヴィンの返事待っているレイアがまるで仔犬のように見える。思わず抱き締めてキスを繰り返したくなる心地がしたが、そこはそれ、公衆の面前、と大人の余裕でぐっと押さえ込んだ。その分、ふたりきりになった時に思う存分堪能すればいいのだから。代わりに左手を伸ばし、赤く火照った柔らかな頬を撫でた。少し艶を纏った仕草でそのままふっくらとした唇をなぞる。
「レイア、ひとついい事教えてやるよ」
「いい、事?」
「男ってさ、見てたい女と触りたい女の好みって結構違うもんなんだぜ」
「どういう意味?」
「俺が触りたいのはレイアだって事。……今日、大丈夫って事だよな? これで最後の確認。これ以降嫌つってももう止めないから、駄目なら今の内に言ってくれ」
「っ! ……だ、だめ、じゃない……大丈夫……」
 ようやく、自分が勢いに任せてかなり大胆な行動を取った事に気付いたらしいレイアが酒の効果とは違う頬の赤さを纏って恥ずかしそうに俯いた。普通は事を起こす前に気付きそうなものだが、後で気付き恥ずかしがる辺りがレイアらしい。と、そこまで考えて「いや、今更か」と心の中で微笑した。そもそも、レイアがこんな風にアルヴィンの前で女性的な仕草を見せるようになったのは恋人になった後なのだ。それまではアルヴィンに対して羞恥心を覗かせる事すら稀だったのだ。もしも、恋人にならないまま同棲生活を続けていたら、その内下着姿で部屋の中をうろうろしていたかもしれない。そう考えると何だか可笑しかった。
 恋人関係になってからより一層、相手を意識したり。告白するよりも前に同棲生活をしてしまったり。自分達の恋の手順はあべこべで、きっと世間一般の恋愛の手順とは大きく違うのだろうな、と。まあ、それも自分達らしいとは思うが、
「けど、ま……こっから先は順序逆になりましたーはシャレになんねぇからな」
 思わずそんな言葉が口をついた。
「へ?」
 不思議そうな顔でこちらを見上げるレイアに「いや、何でも」と苦笑混じりに誤魔化した。それでなくても緊張しているレイアに何も生っぽい事を話す必要はない。例えば――、結婚するよりも先に妊娠させました、なんてならないように避妊はしっかりするべきだよな、とか。
 要領を得ない顔をしたままのレイアの意識をこちらに惹くように、グラスの中に残っていたシャンパンを飲み干してから席を立った。
「さてと、そろそろ部屋いくか」
「あ、うん……」
 躊躇いつつレイアも後に続く。テーブルの上にあった鍵を取り上げ差し出してくる。
「これ……」
「その鍵さ、レイアが使ってくんね?」
「へ?」
「部屋の鍵、レイアに開けて欲しいなって思ってさ」
 最後の決定打を自分ではなく相手に委ねるのはずるいだろうか。多分、格好良くはないだろう。けれど、これはもうアルヴィンの長年の癖みたいなもので、自分に自信を持つようになったと言ってもまだそれ程時間が経っていない状態ではつい、表に出てくるというもの。その辺の意識改革はその内追々やっていくから今日は許して欲しいなどとちょっぴり自分の胸の内に言い訳をしていると、鍵を掌の上に乗せてじっと見詰めていたレイアがふいに、あっ、と声を上げた。
「Kだ」、と。
「K? 何の事だ?」
 要領を得ない言葉に思わずオウム返しで尋ねると、レイアは少し興奮気味に掌の上の鍵、キーホルダー代わりのプレート部分をアルヴィンの目の前に差し出してきた。
「ここ、部屋の番号。わたし達が泊まる部屋『K』の部屋なんだと思って」
「それがどうかしたのか?」
「うん、あのね、この間、ちょっと仕事の関係でKの持つ意味を調べる機会があって……Kってね、例えばsとかqとかって一段上の数値を計る単位に使われてるでしょ。じゃあ、どういう意味でそのKは付けられてるんだろうって調べてみたら『元の値を千倍する』って意味なんだって」
「へぇ」
「それ知った時にね、ああ、そっかわたしのアルヴィンへの気持ちもきっと一段上の数値になったんだなって。自分でも気付かない内に生まれてた小さな『好き』の気持ちが何時の間にか……千倍になっちゃうくらい大きくなったから、わたしは今アルヴィンの恋人なんだなって思ったんだ。『友達』から一段上がって『恋人』になれたんだなって。そう考えたら何だかわたしのここはアルヴィンで全部埋め尽くされてるような気がして、本当何で今まで気付かないでいられたんだろうって自分の鈍感さに呆れちゃうと同時に凄く、今幸せだなって思ったの、これ見て思い出しちゃった」
 胸に手を当て目を瞑りながらそういうレイアの頬は紅潮していた。それは何とも愛らしく純粋で、同時に酷く艶やかにも見えた。
 閉じられていた瞳が薄っすらと紅の霞を纏って開かれる。翡翠の色が小悪魔っぽく揺らめいたような気がした。
「でもって、今日のわたしはその膨らんだ千倍の想いごとアルヴィンに食べられちゃうんだ。えへへ……賃貸契約する時の約束だもんね。美味しく頂いてくれると嬉しいな。アルヴィン」
「っ……」
 見上げる形で笑みと共に告げられた台詞に息を呑む。(本人は酔っているつもりは微塵もないのだろうが)素面ではないからこそ言えたもの。普段のレイアの持つ元気な印象はなりを潜め、そこを埋めるように現れた蠱惑的な印象。ふいを突かれる形で完全にスイッチを入れられてしまった。
 何か言うよりも早くレイアの手から鍵をひったくると、火照った細い体を小脇に抱えるようにしてレストランを抜け客室へと続く廊下へ出た。
 ひんやりとした人気のない廊下、高級そうな壁紙の張られた壁へレイアを押し付けるとやや乱暴に唇を重ねた。当然とばかりにするりと舌を差し込む。
「んっ……ふ、ぁ……」
 甘い吐息を聞きながら、もう大人の余裕などかなぐり捨ててしまおうと決めた。何度も噛み付くようにキスを繰り返す。客室まで後少しの距離なのだが、それすらももどかしく感じた。
 限界近くまで呼吸を貪りあった後、ツーっと透明な糸を名残に唇を離すと、蕩けた表情のままレイアが尋ねてきた。
「アルヴィン、鍵はいいの……?」
 わたしが開けなくて。
 それに対する答えは彼女を姫抱きにする事だった。指定された客室に向かいながら、程好い赤味を帯びた、ボルドーレッドの生地に包まれていない素肌にも唇を寄せた。
「さっきのは撤回。レイアがいい具合に自信持たせてくれたんで、決定打はちゃんと自分で下すよ」
「ん? どういうこと?」
 腕の中でイマイチ状況が理解出来ないと小首を捻る恋人に向かって、高揚感に身を任せる形で後を続けた。珍しい事だが、もしかしたらアルヴィンもいい具合にシャンパンに酔ってきているのかもしれない。レイア同様に。
「さっきレイアが言ってただろ。レイアの胸の中で俺への「好き」がいっぱいになって一段上の数値になったってさ」
「うん……」
「何かレイアと居るとさ、俺の中の小せぇ自信がちょっとずつだけどでかくなっていくような気がするんだよな。でもって、その自信がそろそろ一段上の数値になりそうだなって話だよ」
「えっと……要するに、アルヴィンの自信が元の千倍になったって事?」
「いや、流石にそこまではまだ。けど、ま、これから美味しくレイアを頂いちまったらもしかしたら千倍に到達するかもな」
「アルヴィンの自信が千倍になったらどうなるの?」
「うーん、結婚するんじゃね、俺達」
「え? 結婚!?」
「はは、そうびっくりするなよ。言っただろ、今すぐにじゃないって。俺の自信が千倍になったらってっさ」
「どうしたら千倍になるの?」
「お、何? レイアちゃんてば俺とそんなに結婚したいの?」
「したいよー! だって、わたし立派な新聞記者にもなりたいけど、でも、幸せな家庭を築く夢だってちゃーんと持ったままだもんね! それをアルヴィンと叶えられるなら最高だよ」
「そっか。でも、まあ、焦らずゆっくり行こうぜ。さっき言っただろ、レイアがただ傍にいるだけで俺ん中の自信は育つんだってさ。それに、これから先は順序通りにいきたいからな」
「つまり?」
「つまり、結婚に行き着くまでの間に沢山愛し合いたいって事ですよ」
「アルヴィン、キザだねー」
「言ってろ。この酔っ払い。俺をコケにするとどうなるか思い知らせてやるよ」
「やだっ、怖い〜。契約破棄!」
「残念、クーリングオフは効かないって契約した時に確認しただろ、覚悟しろ」
 シャンパン効果で滑らかになった二枚の舌は普段よりもぐっと、甘えや艶、遊び心を纏って動き続けた。半分程は夢心地のまま言葉を紡いだが、それでも本当に言いたい事は互いにちゃんと伝わっていると、絡まりあう鼓動の音で理解できた。
 軽い調子の応酬は続けるまま、アルヴィンは自らの手で『K』のナンバーのついた扉を開けた。
 ふいに、滑らかだった舌がその動きを止める。数秒の間の後、レイアの唇が朴訥で小さな告白を生んだ。
「アルヴィン……好き」
「俺も」
 好きだよ。
 そう囁き返して後ろ手で扉を閉めた。もう軽い雰囲気は消え去って、甘く真摯な雰囲気がふたりの間に纏わりついている。
 その雰囲気に身を任せながら、軽くベッドのスプリングを軋ませつつアルヴィンは想いを巡らした。レイアの気持ちが千倍になったように、自分の自信が千倍になる日の事を。そして同時に、千倍と千倍を掛け合わせたら一体どうなるんだろうなんて、ちょっと子供っぽい事も。
 アルヴィン。甘えを含んだ声が腕の中で聞こえる。抱擁で応えると、その声は微笑して言う。
「好きだよ」
 そうしてまたひとつ、愛しさと自信が胸の中に広がっていく。今夜は何度、それを繰り返すのだろう。
 レイアには焦らずゆっくり行こう、そう言ったけれど、その日は案外すぐやってくるのかもしれない。
 そんな予感を抱きながら、アルヴィンの手はゆっくりとボルドーレッドの少し大人びたワンピースに触れていった。


END


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