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「何負けてんだよ、出水!」

「太刀川さんこそ何が攻撃手No,1ですか!」





負けられない闘い ver.太刀川隊 in another story





「さ、太刀川くん、出水くん!案内してもらおうか!」

((何でこんなことに…。))

本日午前中の出来事だった。
突然現れた唯我 アリスという女性は、自分の弟である唯我 尊の扱いついて太刀川隊に異議申し立てを行った。
自分よりも弱いやつに唯我をいじめる権利はないと。
アリスの傲岸不遜な挑発に乗り、太刀川と出水はそれぞれアリスと模擬戦を行い、負けたほうがアリスが満足するまで今日1日三門市を案内をすることになった。
唯我曰く、アリスを満足させられるのはどんな大企業の御曹司にも無理だとのこと。

そんな中行われた模擬戦で、なんと太刀川と出水は2人そろってアリスに負けてしまったのだ。
それほどまでにアリスは実力があったのだ。
そうと知っていれば攻め方はいろいろあっただろうに、後の祭り。
約束は約束なので、太刀川と出水はアリスに三門市を案内することになったのだった。

「俺達防衛任務あったのに。」

「君達が負けるからいけなのよ。」

今日の午後太刀川隊は防衛任務があった。
だが、太刀川と出水は揃ってアリスとの勝負に負けてしまったので、アリスに1日付き合う羽目に。
代役は唯我が探すこととなり、太刀川と出水は渋々とアリスに着いて行く。

「さー、どこを案内してもらおうかなー!」

アリスはラウンジで基地の端末で印刷した三門市の観光スポットの一覧を見ながらどこに行こうかと迷っている様子。
太刀川と出水はその前に座り、アリスが行きたいところを決めるのを待っていた。

「お前、何負けてんだよ。」

「太刀川さんこそ。」

太刀川と出水は2人並んでオレンジジュースを飲みながらアリスを見ていた。
どこに行こうか、ここもいいな、などと独り言を言いながら迷っている姿は、先ほどの傲岸不遜なご令嬢ではなく、ただはしゃいでいる少女のようにも見えた。

(あ、そっか勝ったら一緒に出かけられなかったのか。)

(太刀川さん勝ってくれれば2人きりだったのに。)

などと思いながら太刀川は出水を、出水は太刀川を横目で見る。
わざと負ければそもそもアリスと出かけられただろうに、負けず嫌いの2人の頭からはわざと負けるなんていう選択肢が端からなかった。
最も、わざとでなくとも2人ともしっかり負けてしまったのだが。

「んー、そうだなー。太刀川くんに車を運転してもらって…。」

そんな太刀川と出水の気持ちも知らずに、アリスはパンフレット見続けている。
まあ、とりあえず自分達と出かけることを嬉しく思ってくれているようなので良しとするかと2人が納得した時だった。

「あれ?もしかしてアリスさん?」

太刀川と出水には聞き覚えのある声がした。
振り返ると額にかけたサングラスが特徴の、実力派エリート迅 悠一だった。

「悠一くん!!」

迅の姿を見とめると、アリスは思い切り立ち上がり迅に駆け寄った。
その頬を紅潮し、声は弾んでとても嬉しそうな声だった。

「何々〜?日本帰ってきてたの?何で連絡くれないのさー。」

「ご、ごめんよ。悠一くんは忙しいと思って。」

ニコニコと笑う迅に、アリスはもじもじと照れたような態度で話している。
太刀川と出水は顔を歪める。

「え、迅。お前、アリスと知り合いなの?」

「ああ、うん。海外出張の時にちょっとね。」

迅はアリスの長い髪をさらりと漉く。

「髪の毛大分伸びたね。すごく似合ってるよ。」

「本当かい!あ、ありがとう。嬉しいよ。」

何だ、あのアリスの態度は。
先程までの凛とした態度とは打って変わって、まるで普通の女の子ではないか。
何やらただの知り合いというかんじではない。

「アリスさんはこれから俺らと三門市観光に行くんですよ。」

出水はこのままでは迅がアリスを連れて行ってしまいそうなので釘を刺すつもりで行ったつもりだった。
だがその行動は結果的に間違いだった。

「え、そっか。俺今日このあと暇だったから一緒に御飯でも行こうかと思ったのに。」

「えっ!?行く!!行くよ、悠一くん!!!」

「「えー!!!?」」

迅が残念そうに呟くと、アリスは手のひらを返した態度を取った。
それに悲鳴をあげたのはもちろん太刀川と出水だ。

「おい、アリス!お前案内しろって言っといてそれはないんじゃねーか!?」

「そうですよ、俺らどうすればいいんですか!」

「ごめん、2人とも!私と行きたいという気持ちはわかるが、私は悠一くんと出かけることにした!」

アリスはそう言って迅の腕に抱きつく。

「さあ、行こう。悠一くん!」

「え、でもいいの?」

「いいの、いいの!ほら見てごらん、あの2人の顔を。私達の門出を祝福してくれてるよ!」

「してねえよ!」

「してないです!」

太刀川と出水の言葉は既にアリスに届くことはなく、アリスは迅を引っ張ってそのまま行ってしまった。
項垂れる2人のもとへ迅だけがひょっこり戻ってきてこう行った。

「悪いね、2人とも。アリスとイイ感じになられると困るからさ。」

そう言って不敵な笑みを浮かべると迅はアリスのもとへと戻っていった。
そこで太刀川は気がついた。
迅はこうなることが視えていたのだ。
おそらくアリスが自分達と出かけると何かいい雰囲気にある何かが視えていたのだろう。
それが迅にとっては不都合だったので、今このタイミングで現れたのだ。

思えばそれが視えていたのであればアリスと自分達が出会う前に阻止することもできたはずだ。
だがわざわざこのタイミングで現れたのは太刀川と出水にアリスは渡さないという意思表示なのだろう。
釘を刺しに来たのは迅のほうだったのだ。

太刀川と出水が最後に迅とアリスのほうを見ると、迅がニヤリと笑って手を振った。
その顔は”アリスはあげないよ〜”と言ってるようだった。

「…おい、出水。この後ランク戦しねえか?」

「あ、いいですね。ボコボコにしていいですか?」

「言ってろ。俺がお前をボコボコにする。俺は機嫌が悪い。」

「俺も機嫌悪いです。」

太刀川と出水のランク戦はこの後50本、夜が更けるまで続き、理不尽なことに唯我はそれにつきあわされたのだった。










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2018.12.05
今回のanother storyは迅でした!
やっと!ついにこのサイトでも迅夢っぽい展開が!
diaryであとがき的なもの書いてますのでよろしければどうぞ。


※お返事不要の方はお申し出お願いします。


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