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「お誕生日おめでとうございまーす!」





after the 負けられない闘い ver.風間隊 side Heroine





「ありがとう。」

今日は風間 蒼也の誕生日だ。
風間隊の面々は隊室でささやかな誕生日パーティーを催していた。
メニューはカツカレーとバースデーケーキというちょっと異色なものではあるが、メインである風間 蒼也の好物であるカツカレーは欠かせない。
隊員達の手作りのカツカレーとケーキに、表情はあまり変わっていないが風間は嬉しそうだった。

「お兄ちゃん、お誕生日おめでとう!」

「「「おめでとうございます、風間さん!」」」

「うむ。」

ヒラヒラと舞うクラッカーの飾りをその身に浴びながら、風間は早速カツカレーをもぐもぐと頬張っていた。
アリス達も一緒に少しカツカレーを食べてあとはお菓子やらをつまんで楽しく盛り上がる。

「はい、お兄ちゃん、どうぞ。これ、プレゼントだよ!」

「ありがとう、アリス。」

「三上先輩と一緒に選んだの!」

「そうか、三上。ありがとうな。」

「気に入っていただけるといいんですが。」

それに続いて菊地原と歌川もプレゼントを渡す。
本当ならアリスと風間の誕生日プレゼントを口実に一緒に出かけたかったが、2人にはその資格がなかった。

先日風間隊の3人で行った乱戦形式の模擬戦。
主に歌川と菊地原が風間に挑戦するのだが、もう何十回、何百回と挑戦したかわからない。
何度風間にねじ伏せられようとも不屈の精神で立ち向かったが、結局はまた風間の前に膝をつく形になった。

2人にとってこの模擬戦は重要だったのだ。
そう、この模擬戦はただの訓練ではない。
この闘いに勝ててさえいれば、アリスをデートに誘うことができ、うまくいけば告白、恋人とまで進めることができたかもしれないのに。
そうこれはアリスに告白する権利を勝ち取るための闘いだったのだ。

「皆、ありがとう。これからも宜しく頼む。」

「「「「もちろんです!」」」」

アリスと出かけることができなかったのは無念でならないが、今日は風間の誕生日だ。
そんなめでたい日にまでこの話を持ち込み落ち込んでいてもしょうがない。
風間にはまた後日挑めばいいだけの話だ。

とりあえず今日は大好きな隊長の誕生日を祝いたい。





この日非番だった風間隊は、誕生日パーティーが終わるとそれぞれの帰路に着いた。
三上はちょうどその日の夜は出かける用事があるそうで早々に帰ったが、残りの4人は一緒に基地を出た。

「じゃあ、アリス。また迎えに来るから終わったら連絡を入れろ。」

「うん、ありがとう、お兄ちゃん!」

いつもなら兄妹でベタベタと見せつけながら帰る風間兄妹だったが、アリスは何か用事があるのか風間だけが先に帰った。
珍しいこともあるものだと菊地原と歌川がアリスを見ていると、彼女は振り返り2人に駆け寄ってきた。

「菊地原くん、歌川くん。この後って暇?」

2人は顔を見合わせる。

「暇。」

「俺もだ。」

その返事を聞いてアリスはパッと笑顔を見せた。
そして3枚の割引券を見せる。

「お兄ちゃんがね、3人で行ってこいって駅前の喫茶店のデザート券くれたの!今から3人で行かない?」

菊地原と歌川は大層驚いた。
2人きりではないが、アリスと一緒に出かけられるなんて。
しかもそれを風間がお膳立てしてくれたとは。

「あ、それからね。これは私から2人に。」

アリスは鞄の中から小さな紙袋を2つ取り出した。

「お兄ちゃんの隊にいてくれて、ありがとうの気持ち。」

菊地原と歌川が手渡された紙袋を取り出すと、中には手作りの様相をした焼き菓子が入っていた。

「え、これ手作り?」

「うん!あまり上手じゃなくて悪いんだけど。」

たははとアリスは苦笑する。
2人はぶんぶんと首を横に振る。
今日は一体なんなのだ。こんなことがあっていいのだろうかと2人は思った。

「お兄ちゃんね、あんな性格でしょう?だからね。隊を組むって聞いた時は心配してたんだ。でもね、菊地原くんと歌川くんが風間隊に入ってくれて良かったって前に言っててね。その時すごく嬉しそうだったんだあ。」

アリスはその時の風間の顔を思い浮かべているのか幸せそうに笑った。
菊地原と歌川はその笑顔に思わず顔を赤くする。

「だからね、今日は2人にお礼がしたかったの。それに2人が一緒だと私も楽しいし!」

「あっそ。」

「ありがとう、アリス。」

菊地原と歌川はなんだか照れ臭くて気の利いた言葉が出てこず短くしか返事ができなかった。

アリスはいつも風間にべったりで自分達はただ隊が同じの同級生ぐらいにしか思っていないかもと、菊地原と歌川は考えていた。
こんなにアリスが思っていてくれたとは知らなかったのだ。
それに何だかとても感動してしまった。

「まあ、僕も風間隊楽しいし。」

「俺も風間隊大好きだ!」

「私も!」

アリスは菊地原と歌川の間に入って2人の手を引く。

「さ、早く行こう!」

「引っ張んなくても行くし。」

「転ぶぞ、アリス。」

そうやって2人がそれぞれ手を握り返すと、アリスもまた嬉しそうに手を握った。

「っていうか、そういうことなら先に言っといてよ。」

「デザート入るかなー。」

さっきまで風間隊の隊室でしこたまお菓子を食べてきたところだ。
今からデザートを食べに行って食べられるだろうか。

「えー、男の子には別腹ってないの?あ、でもじゃあボーリングとか行って運動する?」

「いいな、それ!」

「悪くないんじゃない?」

いつかは風間に勝って告白をしたいけれど、今日のところだけは仲の良い友達として3人で楽しむのもいいかなと思う菊地原と歌川であった。









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2018.10.14
バージョン ヒロインです。
菊地原と歌川は風間さんを崇拝するレベルで好きだと思います。
そして風間さんも何だかんだ弟妹レベルで風間隊のメンバーを好きなんだと思います。


※お返事不要の方はお申し出お願いします。


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