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セクシャルハラスメントとは





「冬島さん!」

諏訪隊の体質の扉を勢いよく開ける女性がいた。
見ると少しご立腹な様子の彼女はこのエリアではあたりみない、エンジニアの服に身を包んでいた。

「おー、桐島か。」

「アリスちゃん、やっほー。」

扉を開けたそこに広がる光景は、例えるなら麻雀好きの大学生の部屋のようだった。
B級にあがり隊を組むと与えられる隊室。
使い方は自由だとは言うが、ここの、諏訪隊の隊室は特に俗っぽい。
部屋の真ん中にでかでかと置かれた麻雀卓。
その周りに散らかる飲み物や菓子。
それもこのヤンキーのような見た目の大学生が隊長だからだろう。

「アリスさんもやってく?」

そう言って麻雀卓を指さすのは先ほど言ったヤンキー大学生、諏訪だ。

「やりません!」

その諏訪に怒った様子で言い返すのは、先ほど部屋の扉を断りもなしに開けたアリスだ。

彼女の名前は桐島 アリス。
ボーダー基地の開発室部門で働く女性エンジニアだ。
年は25と少し若いが、その類い稀な発想力と技術力で、室長の鬼怒田も目にかけている。

そんな彼女が怒ってやってきた理由は。

「冬島さん!約束の時間過ぎてますよ!私の開発見てくれるって言ったじゃないですか!」

「ちょうどいいところに来た。アリス助けて。」

怒鳴りつけたのはこの部屋にいる最年長、冬島 慎次、その人だ。
A級二位の冬島隊の隊長であり、元エンジニア。
会話から察するに、冬島がアリスとしていた約束を破った様子。
それでアリスがご機嫌斜めで探しに来たというわけらしい。

「助けて、じゃないでしょ、冬島さん。途中だし、今大負けしてるんだから。」

と、そう言うのは冬島の正面に座る諏訪隊オペレーターの小佐野だ。
普段は諏訪、堤、冬島、東で麻雀をすることが多いが、今日は堤が用事で途中で抜けたため、ちょうどいた小佐野が人数合わせで入った。
すると大人達の計算外なことに小佐野は麻雀が好きで結構強く、プレイスタイルの関係か、もしくはメンタルに変化が出るのか、小佐野が来るまでに勝ちまくっていた冬島が逆転された挙句大負けしているのだ。

「オサノちゃん!女子高生が麻雀なんかしてたらダメでしょ!」

「知ら〜ん。」

アリスが小佐野に怒ると、小佐野はふいっと明後日の方向を向く。

「東くんも何とか言ってよー!」

「いやー、でも小佐野がいると楽しいぞー、桐島。」

同い年の東に訴えるが、東は人の良さそうな顔であははと笑うだけだった。

「何にせよ、このおっさんはまだ帰せねえぜ?アリスさん。」

諏訪はそう言って炭酸ジュースを煽る。

「大負けしてる分返せたら別にいいけどなー!」

そんなことは無理だろうと嘲笑うかのように諏訪は大声で笑った。
冬島は青ざめた顔で何故こんなことにというような顔をしている。

「取り返せたらいいわけね、諏訪くん。」

「え?」

「ちょっと冬島さん、そこどいてください!」

「お、おい、アリス。」

諏訪の言葉にカチンと来たのかアリスは冬島を押しのけるとその席に着く。

「時間ないから早く。」

そう言ってアリスは雀を弾いた。





「いやー、お前がまさか麻雀あんなに強いとはなー。」

40分後、冬島とアリスは開発室にいた。

「諏訪の顔めちゃくちゃおもしろかったわ。」

アリスは次々とあがっていき、あっという間に点数をひっくり返した。
しかも諏訪が親の時に限って大きな役で上がり、結果諏訪をどん底にまで突き落としてから部屋を出たのだ。

「また今度しようなー、アリス。」

自分の負け分がなくなり、機嫌をよくした冬島がアリスを後ろから覗き込む。

「知りませんから。」

すると膨れっ面のアリスが目に入る。
カタカタとキーボードを打つ音だけが響いた。

この開発室はアリス専用のラボだ。
開発室員の中でもズバ抜けて優秀なものに与えられる個室。
小さくはあるが、自分専用のスペースで思う存分研究、開発ができるのだ。

「なー、アリス。謝ってるだろ?許してけれよー。」

「謝ってないでしょ!」

「そうだっけ?」

謝罪の言葉なんて全く聞いていないのにそんなことを言う冬島にアリスはますます腹を立てた。

「もうただでさえ忙しいとか言って見てくれないのに、約束してても破るなんて。」

アリスは冬島に憧れてボーダーの開発室に就職した。
だが肝心の冬島はと言うと、真木理佐にスカウトされて何を思ったのかトラッパーとして戦闘隊員になっていた。
それはショックだったが、何度か足繁く冬島隊の隊室に通い、顔も名前も覚えてもらい、今のような関係になった。
冬島は戦闘隊員の中でもトラッパーという特殊なポジションだし、チームはA級二位だしで、いろいろと忙しい。
今日はそんな中アリスがようやくこぎつけた約束だったのだ。

「知らないんだから。」

アリスは少し拗ねたような、そんな風にぽそりと呟いた。
その様子を見て冬島はガシガシと頭をかく。

「悪かったよ、アリス。」

「?!」

冬島はそう言うとアリスが座る椅子の背もたれとアリスの背中の間の隙間に強引に入り込み、そうして後ろから抱き込むようにアリスの両脇から手を伸ばしてキーボードに手を添えた。

「ふ、冬島さん?!何して…。」

「みてやるっていう約束だったろ?」

「っ!」

すぐ耳元で声がして、思わず体をビクリと震わすアリス。

「ふ、冬島さん、どいてくださっ。」

「ほら、ちゃんと画面見ろよ。」

冬島は構わず作業を続けた。
アリスはと言うと顔が熱いし、冬島の話は耳から入ってこないしでどうしようもない。

「こ、こんなのセクハラですよ。」

アリスがそう言って抵抗すると、冬島が言った。

「おいおい、そりゃ使い方が違うだろ。」

パチっとエンターキーを押すと、画面では何かが実行され始めた。
一体何が始まったのか、アリスは全く見ていないからわからない。

「セクハラってセクシャルハラスメントの略だぞ?ハラスメントって嫌がらせだぞ?」

「?!」

冬島はそう言ってアリスを後ろから抱きしめた。

「お前嫌がってないのにハラスメントっておかしいだろ。」

「な、何言って、きゃあ!どこ触ってるんですか!」

「お前が嘘つくからいけねーの。」

「ん!」

優しい抱擁からなんだか手つきがイヤらしくなっていく冬島に抗議をしようと振り返ると強引に唇を塞がれた。

「大丈夫だって。さっき鍵の施錠と罠設置実行しといたから。」

そう、先ほど冬島が実行したのはこれだったのだ。

「そういう問題じゃな、やあ!」

「そういう問題なの。」





次の日からアリスに口を聞いてもらえなくなった冬島。
平謝りするそんな冬島を、アリスはただ麻雀でボコボコにするだけだった。











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2018.09.22
20,000打企画、美雪様からのリクエストで冬島さん夢でした。
大変長らくお待たせして申し訳ございませんでした。


※お返事不要の方はお申し出お願いします。


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