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誰だって疲れちゃうことぐらい、あるよね?





ヒーローだって





嵐山 准。19歳、大学生。
ボーダー所属、ランクはA級5位。
広報も務めるアイドル部隊で、後輩の面倒見もよく、頼り甲斐のある良い男。ヒーローと呼ぶ人もいる。

これが世間が嵐山 准に抱くイメージであり評価。
かく言う私の中での嵐山 准という男も上のようなイメージが強かった。



ピンポーン



あ、帰ってきた。

インターホンに呼ばれて急いで玄関に向かう。
今は夜中近い。ガチャリと鍵の開く音がやけに響く。

「たっだいまー、アリスー!」

夜も遅いというのに、大声で帰りを告げる目の前の男は、先ほど話に出ていた嵐山 准だ。
ドアが開くや否やもたれかかるように私を抱きしめる。

「おかえり、准。」

そう言って抱き返して頭を撫でる。
するとポロリと本音をこぼす。

「疲れた。」

聞こえるか聞こえないかぐらいのか細い声。
今日も大変だったんだね、と抱き返す腕に力を込める。





准は週末になると一人暮らしの私の家に泊まりに来る。
この習慣が始まってから数ヶ月は経っただろうか。
私は今でもこの週末を楽しみに、平日の大学で勉学という苦行を乗り越える。
ご飯を用意して疲れて帰って来る准に振る舞うと、アリスのご飯はいつもおいしいな!なーんて言いながら嬉しそうに食べてくれるものだから作り甲斐があるというもの。

「じゅーん。今週もお疲れさま。」

食事も片付けも済ませて准はすっかりまったりモード。
床に座っている私の腰に抱きつくような形で寝転がっている。
私は膝の上に乗せられた准の頭を撫でる。

「うん、疲れた。」

帰って来た時と同様疲れたという。
このまま眠ってしまうかなと思ったので用意していた毛布をかけてあげる。

「アリス、いつもありがとう。」

「ううん、准こそ無理しないでね。」

寝言のようにお礼を言う准。
そして本当にそのまま眠ってしまった。

こんな准を一体誰が知ってるだろう。
家族でさえきっと見たことないだろう。

嵐山 准。19歳、大学生。
ボーダー所属、ランクはA級5位。
広報も務めるアイドル部隊で、後輩の面倒見もよく、頼り甲斐のある良い男。ヒーローと呼ぶ人もいる。

そう、これがみんなの知ってる准。
でも本当は疲れたりするし、弱音を吐いたりもする。
こうやって疲れ果ててそのまま寝てしまうことだってある。

准はそんな素振りを外では見せない。
無意識なのか、気を遣ってなのかはよくわからないけど、ともかくいつも元気で明るい。
准らしいと言えば准らしい。
そんな准を好きなったのも事実。
だからこんな准を初めて見た時は正直驚いた。

でも不思議と、自然と納得できた。
だって人間だもの。ヒーローだけど無敵じゃない。
わかってる。だから私はせめて准にとって安らげる場所でいたい。

「好きだよ、准。」

そう言って今は眠るヒーローを見守るのだった。









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2015.4.7
すごく短いのですが、何かちょっと急に弱い感じの嵐山さんが書きたくて。
すみません、出来心です。

※お返事不要の方はお申し出お願いします。


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