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「今日こそは。」





負けられない闘い ver.風間隊





「勝たせてもらいます、風間さん。」

「ちょっと歌川、それ僕のセリフ。」

とある訓練室で睨み合いをしている3人がいた。

「ダメだと言うのがわからんのか、半人前どもめ。」

ボーダーA級3位として知られる風間隊だ。
3人は両の手にスコーピオンを握り、円を描くようにして互いに睨み合っている。
チームを組んでいると言うのに険悪なムードだ。

『これあと何回やるの、2人とも。』

オペレーター室の椅子に座り大きくため息を着いたのは、風間隊のオペレーター三上だった。
2人とも、とは歌川と菊地原を指す。

「「風間さんに勝つまでです!!」」

『…。』

滅多に見ない気迫に、三上はまたため息をつき自隊長に問う。

『風間さん、いいですか?』

「俺は構わん。叩き潰す。」

いつも表情が硬いが、その実とても仲間思いの風間。
だがことこの模擬戦に関しては、いつもと様子が違った。

『それでは風間隊、模擬戦を開始します。』

模擬戦は両者の同意がなければ行えない。
今回は見たところ歌川と菊地原が挑戦者で、風間はそれを受ける側だ。
両者の合意が確実にとれたところで、三上は試合開始の合図を告げた。





もう何戦しただろうか。
三上は何度目かの風間の勝利コールを告げる。

「まだ、です!」

「もう一戦!」

「かかってこい。」

訓練室の中の3人はヒートアップしているが、オペレーター室内の三上は完全に置いてけぼりだ。

(ちょっとそろそろ帰りたい。)

周りから見ればこの訓練はとても熱が入っており、見物客からはさすが風間隊だなんて言われたりもする。
三上も第三者としてこの訓練を見れたならどんなにかよかっただろうか。

「あ、やっぱりここにいたー。三上先輩!お疲れ様です!」

「アリス!いいところに!」

オペレーター室に入って来たのは風間隊の制服を着た少女。
名前はアリスと言い、風間隊のオールラウンダーだ。
ちなみに年齢は16歳、歌川と菊地原と同い年だ。

三上はアリスが入って来るやいなやマイクのスイッチをオンにした。
余計な音が入らないよう、コール以外の時は基本的にオフにしているオペレーター室のマイク。

だが三上はあえて今、そのスイッチをオンにした。

『あー!またあたしに内緒で模擬戦やってるー!』

「「アリス?!」」

室内に漏れたアリスの声に反応して歌川と菊地原の動きが一瞬止まった。
風間はそれを見逃さない。

「隙だらけだ。」

「しまっ!?」

「うわぁ!」

『トリオン供給体破損、歌川、菊地原ダウン。』

その試合が終わるのと同時に訓練室の扉が開く。
入って来たのは怒った様子のアリスだった。

「ちょっと、歌川くん!菊地原くん!模擬戦する時は誘ってって言ったじゃん!あたしだって挑戦したいんだから。お兄ちゃんに!」

そう言ってアリスは風間に駆け寄った。

「蒼也お兄ちゃん!すごい!まだ2人相手にして無敗なんだね!」

「半人前2人相手じゃ1人相手しているのと変わらないからな。」

「すごーい!あたしも言ってみたい!そんなこと!」

アリスは風間の腕に自らのものを絡めて腕を組んだ。
その様子を見て、歌川と菊地原の米神がピクリと動く。

(くっそぉおお、兄妹でベタベタしてぇぇ!!)

(風間さん何で勝ち誇ったような顔してるんだよぉぉお!!)

その様子を見て、三上はまた盛大にため息をつき、帰ります、と一言言ってその場を去った。

「アリス、今日は飯でも食って帰るか。」

「ホント?!あたしカツカレーがいいな!」

「当然だ。」

「やったー!じゃああたし準備して来る!」

アリスは歌川と菊地原に手を振ると訓練室から出て行った。
相変わらず項垂れたままの歌川と菊地原に、風間は言った。

「俺より弱いやつにアリスはやらないぞ。」

「わ、わかってますよ!」

「絶対勝ちますし。」

風間はふっと笑うと、アリスの後を追い訓練室から出て行った。

感の良い者は薄々感じている。
あの熱のこもった訓練試合は、風間 アリスという女の子に告白する権利を与えてもらうための決闘なのだ。

風間 アリス。
その名からわかる通り、風間隊隊長風間 蒼也の実妹で、風間は彼女をとても溺愛している。
兄の蒼也と違ってアリスは明るく人懐こく、それが可愛いとボーダー内でも人気だ。
自然と近づこうとする輩は増える。

だが、風間はそれを許さない。
どこから聞きつけたのか、アリスに告白をしようとした者に片っ端から模擬戦を挑み叩き潰した。
以来、アリスに告白するためにはまず兄の風間を倒すしかないという暗黙のルールがボーダー内に出来上がった。
今では告白することさえ諦め、遠くから傍観を決め込む人間が増えたが、同隊の歌川と菊地原は今でも風間に挑み続けている。

勝ってアリスに告白する権利をもらう。
そのために今日も2人は風間に闘いを挑むのだ。

「絶対勝ってアリスに好きだって言うぞ!」

「僕は別にそういうのいらないけど。」

「じゃあ邪魔するなよ。」

「それとこれとは話が別。」

2人がアリスに思いを伝えられるのはいつの日になるのか。

それはまだ誰にもわからない。









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2015.4.30
もう完全に出来心です。
風間さんは上でもしたでも兄弟を大事にしそうですよね。

※お返事不要の方はお申し出お願いします。


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