ワールドトリガー 夢小説 | ナノ


何でなんだろう、あたし何かしたのかな。





全面的にお前が悪い





おかしいと思う。この状況。

「お前、諏訪さんと喧嘩でもしたのか?」

「はっ?!してないよ!してない、と思う…。」

「声小さくなってるぞ。」

昼休みの学校の屋上。
最近自分でもわかるぐらい元気のない自分を少しでも元気付けようと、
購買部で買ったパンを片手にやって来た。
そこで偶然荒船に出くわし、成り行きでご飯を一緒に食べてると、上のような話になった。

「ならいいが。最近喋ってるところ見ないから、どうしたのかと思ってな。」

荒船の言うとおり、ここ最近私は諏訪さんとまともに会話をしてない。
ここ最近というより、付き合い出してから少しして、が正確だ。
時間経過にして1ヶ月弱ぐらい。

私もこの荒船も、そして今話に出て来た諏訪さんもボーダー隊員。
諏訪さんはあんなガラの悪そうな風貌だが、実は結構面倒見がよくて優しい。
私も新人時代よくお世話になった。

だからというわけではないと思うが、私が諏訪さんに抱く思いは、先輩に対して、と言うよりは一人の男の人に対してのそれに代わっていった。
どうしても堪えきれず、思いの丈を諏訪さんに伝えると返ってきたのは意外にもOKの返事だった。
正直高校生の言うことなんて間に受けないかと思っていただけに私は家に帰って一人になると、文字通り飛び上がって喜んだ。

「喧嘩してない、と思うんだけどなぁ。」

「何で自信なさげなんだ。」

「だって心当たりないんだもん!」

喧嘩はしていない。つもりだ。それは本当。
でも荒船に言われたことも本当で、周りから見ると心配されるぐらいの状況になっているようだ。

「ちゃんと聞かないとわからないぞ!」

「がんばる。」

荒船にさりげなく元気付けられながら昼休みが終わった。





「アリス、帰るぞ。」

「は、はい!」

任務で遅くなった日は諏訪さんが家の近くまで車で送ってくれる。
もう何度か車に乗せてもらったが、その度に横顔や運転する手に惚れ直してるなんてことは極秘事項だ。

帰り道がすごく長く感じる。
いや、長く一緒にいたいのはあるんだけれど、会話が少なく何と無く空気が重苦しい。

「アリス、着いたぞ。」

「あ、はい。」

この空気の重さにアテられたのか、急に付き合う前のことを思い出した。
あの頃もこうやって車で送ってくれることはあった。

すごく、楽しかった。

今は?どうしてこんな風になっちゃったの?
あたしが何かした?諏訪さんどうしてこっち向いてくれないの?

「ぅお!?どうした、アリス!?何泣いてんだ!?」

「ご、ごめんなさい。」

我慢しなければならないのはわかっている。
わかっているのに涙が止まらなかった。
私が一人で勝手に悩んでないているだけだ。
また分からないうちに諏訪さんを怒らせてしまう。

「どした?何かあったのか?」

かと思えば降ってくるのは優しい言葉。
どうしていいかわからず私は一層泣いてしまった。

「諏訪、さん。」

「ん。どした?」

「怒っちゃやだぁ。」

助手席でボタボタと泣き続ける私を見て諏訪さんが動揺している。
でももうここまで来たら関係ないと、私は子供が駄々をこねるように思っていることをようよう口にする。

「俺が?何だよ。俺何も怒ってねぇぞ?」

グリグリと指の腹で涙を拭ってくれながら諏訪さんが言った。
怒ってない?怒ってなければどうして。

「だ、だって、前みたいに話、してくれないし、私の方、全然見てくれない、し。」

「…。あー、うん。それ、か。そっか、そうだよな。」

諏訪さんは頭をガシガシ掻いて、バツが悪そうに私から目を逸らせた。
だが何かを決めたように深呼吸を一つして私に向き直る。

「…お前が悪いんだからな。」

聞こえるか聞こえないか程度に諏訪さんがそう言うと、不意に何かが唇に押し付けられた。
キスされたと気がつくのに時間はかからなかった。

「/////?!」

唇が離されたと思いきや、間髪入れずすぐにまたキスをされた。
私は苦しくて思わず諏訪さんの胸を押す。

「す、諏訪さん。」

ようやく解放された時私はすっかり息が上がってしまっていた。
だが目の前の諏訪さんは涼しい顔。
いや、息はあまり乱れてないが、顔は少し赤い。

「…な?こうなるだろ。」

わけがわからないというような私に諏訪さんは言った。

「お前が可愛すぎるのが悪い。いろいろしたくなっちまうだろ。キスとか。その先とか。」

何だろう、今さらりとすごいことを言われた気がする。

「お前はまだ高校生だし、これでも俺は大人だからな。我慢してんだよ。いろいろ。」

諏訪さんの手が伸びて来てくしゃりと頭を撫でられる。
ああ、何だかこういうの久しぶりだ。
そう思うといつの間にか止まっていた涙がまた溢れた。
それを見て諏訪さんが悪いと謝る。

「そうだよな。言わねえとわかんないよな。悪かった。泣かせるつもりはなかったんだ。」

私はぶんぶんと顔を左右に振った。
諏訪さんは私のことをずっと考えていてくれたんだ。
大事に思ってくれてたのに、私が勝手に嫌われてしまったなんて思い込んで。

「あー、俺はちゃんとお前が好きだぞ、アリス。だから泣くな。」

諏訪さんはそう言ってもう一度キスをしてくれた。

「私も諏訪さんのことすごく好きです。」

嬉しくてそうやって素直に返せば滅多に見られないくらいに顔を赤くする諏訪さん。
ハンドルに頭を預けて最後にこう呟く。

「我慢できっかな、俺。」

最後の言葉は大分気になったけど聞こえなかったふりをする。
それが優しさってものだよね?









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2015.2.23
こういう若干ヘタレ感が出てる諏訪さんがいいと思う。

※お返事不要の方はお申し出お願いします。


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