命ある限り



「命ある限り……命ある限り、私は貴方様のおそばにいると誓います…」



胸に手を当てて跪き、お決まりのポーズでそういう私の名前は、名前は………名乗るほどのものではない。


別に咄嗟にかっこいい名前が思いつかなかったとかそういうんではない。決して



「はいはい、分かったから。今日は何ごっこ?」



呆れ口調でそういうのは、目の前の玉座に座る一人の少年。実は年齢不詳だが少年にしておこう。そうしよう。



「国民に敵対視されて今にも反乱起こされそうでつかもう起こされてて、味方何て一人もいないぜこんちくしょーって状況の王子様と従者ごっこ」


「……………」



せっかくわかりやすく説明してやったのに無言。目の前の男は無言。酷いね!極悪非道だね!!



「あぁあぁああ!!無言はやめよーよー!悲しくなるんだよーー!てかさ、せっかく彼女が遊びに来てるのにお茶の一つも出さずにテキパキテキパキ仕事して!ちょっとはダラダラしなさい!!」


「ふつうお茶とかって彼女の方が何も言わないでもいれてくれるものだと思うんだけどね僕は」


「あーいったなー!!いんだなーーー!お茶いれちゃうぞーー!前、草壁さんに貴方はもう調理器具にさわってはだめですよって言われたけど良いんだなー」



料理をするなじゃないからね!さわるなだからね!!そんなに大したことはしていないのに草壁さんも過保護だね!!



「いいよ。いれないで」


「掌返すの早いッ!!!」



速攻で意見を取り消しやがったこの男。そうなんです。私の彼氏なんです。彼氏なんですか?逆に問いたい。この人は私をなんだと思っているのでしょうか。



「ねーねー構っておくれよー暇なんだよ―――仕事なんて後でいいじゃないかよー―」


「この書類君が昨日壊した屋上のフェンスの始末書なんだけど」


「お仕事頑張ってくださーい!!」



マジでか。こりゃ何も言えんな。いや別にね、ちょこーっと好奇心で回し蹴りしたらバキョっていって壊れちゃったの。悪気はなかったの。


でも、暇なものは暇なのです。少しは書類じゃなくて私にもかまってほしいのです。



「ひぃまーー」



そう言った後にチラっと恭弥の方を見てみても相変わらず書類とにらめっこ。そうかいそうかい。私の声何て聞こえないってことかい



「ぶーぶーもういいしー構ってくれないなら一人で帰るしー」


「ダメ」



うおぅ!!なんなんだ!お次も速攻で返してきたぜ!意味が分からないぜ!



「はぁ、ほら。こっちおいで」


「なにーあのねー私はかなーりおこってますからねーお菓子与えたくらいじゃ立ち直りませんからねーーー」


「ちょっとはかまってあげるから…一人で変えるのは絶対ダメ。いい?」


「う、え、あ、はい」



そう言って、いつもの悪魔のほほえみはどこへやら正反対の天使のほほえみを顔に浮かべ頭を撫でられてしまっては何もしゃべれなくなってしまう。いや、マジで。


カァアアアアと頬が赤くなっていくのが分かる。何なんだこの男は、普段とのこのギャップはなんなんだ。



「顔赤いよ。熱でもあるんじゃない?」



そう言って、意地悪く笑うのでこいつは完璧に確信犯だなと思いました。でも、顔は暑くなるばかりです。だれか!誰か扇風機を!!




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チヒロ様リクエスト、雲雀ギャグ甘小説でした!

連載の「いつも隣には」の方がまだまだ甘がないと自覚しておりますので、今回は甘を意識して、意識して………できたのでしょうかこれは?


チヒロ様、リクエストありがとうございました!




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