レヴァトゥーラと呼ばれる、人類史上最初で最後の神に匹敵する知性を持って生まれたとされる女性がこの世に生を受けて約200年。

彼女の生み出した技術は、そして彼女の統率力は全世界の人類を救った。



目まぐるしい技術発展は世界を豊かにしていき。


彼女の統率力によって、次々と世界の国々は一つにまとまっていった。


そして、この世に国≠ニいう定義はなくなり、すべての人類が同じ言語で、同じ文化で生活し始めた。


はるか昔に地球を震撼させた、異常気象に地殻変動。破壊されゆくオゾン層に増える人口。




彼女は言った。


「もとからあるものに頼るからいけないのよ」


そして、彼女は作り上げた。

異常気象も、地殻変動も関係ない。

地球という星の上に大きな大きなドームを作った。その中では人口の太陽が輝き、夜になれば星が瞬く。定期的に雨も降るし、目で楽しむ程度の雪も降る。


そこに在るのは、作られた自然。


その中には育て上げられた動物たち。


統べたが人間の都合の言い様に作り上げられたその空間を、人々はこう呼んだ。




「エデンの園」



と。


人のために作られた楽園。すべての人々はその中に移り住み、自由を得た。


人々は、世界から戦争を無くし自由を作り上げたとして、彼女を神のように崇めた。







しかし、それで豊かになったのは人間だけ。かつて、森に川に海に多種多様にいた生物たちは、人間が必要とするもの意外はすべて姿を消していった。


エデンの園の外に取り残された動物たちは、そのほとんどが死に絶えた。

しかし、それは全て≠ナはない。

人間たちは気づかなかったのだ。生き物が本来持つ恐ろしいほどの力を。














そして、二百年たった今、人類が直面している問題は前代未聞のもの。



楽園の外は、まさに地獄。そこで生き抜いた動物たちは皆、独自の進化を遂げていた。


空飛ぶ獲物を捕らえるために翼を生やした虎。


汚染された水から逃れるために、肺呼吸を覚えた魚たち。


絶え間なく襲う異常気象からその身を守るために、逃げ場を探し知能をつけ始めた類人猿。


あらゆる方向から襲う敵の姿を捉えるために、双頭となった鳥。








ラカイトの中で眠る



―――襲い来る動物たちに、人間の成す術などない。



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