Real3
涙を拭いて、ラピスたちは再び歩き出す。
教室へ向かう途中は、沈黙が続いていたが、誰もそれを壊そうとはしなかった。
ラピスは、俯いて顔を上げようとしない。
どうしても、気になった。
自分が殺そうとした男性と、ツナが似通っている事が。
しかも、周りにいる、山本や獄寺もが夢の登場人物に似ていることが。
しばらく歩いて教室に入る。
ラピスは自分の席に座ると、机に突っ伏した。
頭が、痛い。
いろいろな事が、一度に起こりすぎた。
このときは、まだ気づいていなかった。
これは、これから起こる出来事の前触れだったんだって言うこと。
でも、気づかなくてよかったのかもしれない。
ぐっと拳を握り緊めて、一人曇天を見上げる。
黒い暗雲に覆われた空は、まるで、今の私のよう。
「・・・・・・った。」
一人で、呟く。
「こんな事になるくらいなら、記憶を消すんじゃなかった」
頬を涙が伝う。
過去の自分の選択を、恨む。
でも、もう遅い。
歯車は、回りだす・・・
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