今だけは目を背けさせて





「ランポウ!遊んで!!!」



ダダダダダ!と走って行ってラピスはランポウの部屋へ飛び込む。最初の頃は、ラピスが部屋へ押しかけていくたびに鬱陶しそうにしていたランポウだったがいつの間にか二人は周りの人間が驚くほどに仲良くなっていた。



「また来たんだものね」



その証拠に、憎まれ口をたたくランポウの顔もいつもよりも穏やかだ。口で何を言おうとやはり年の近いラピスと遊ぶのは楽しいのだろう。




「あのねあのね、今日は何して遊ぶ?」



「雨月からおりがみ≠チてやつを貰ったんだものね」




そう言って、ランポウが引き出しをごそごそとあさって出したのは綺麗な色紙。独特の色合いに染められた和紙はとても美しくラピスは思わず見入ってしまう。

そんなラピスの反応に気をよくしたのかランポウは得意げにおりがみを一つ手に取り記憶を探るようにしながら丁寧に折っていく。




「何してるの〜?」



おりがみというものを知らないラピスはそう問いかけながら、ジーーっとランポウの手元を興味深げに見つめている。




「ほら、これで完成だものね!」



そういって、ランポウが掲げて見せたのは少し不格好な鶴だった。ラピスは初めて見るものに目を輝かせる。



「凄い凄い!紙が鳥になった!!」


「これは、鶴っていうんだものね。仕方ないから、ラピスにも作り方教えてあげるんだものね」




ランポウがそういうとラピスも嬉しそうにうなずいて、二人でおりがみを作り始める。



楽しい、とラピスは思った。心の底から楽しい、と。

これは、何物にも代えがたい感情だ。とても暖かくて、失いたくない。

ボンゴレファミリーにいるこの時間が、温かくてラピスは大好きだった。









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