穏やかな日々




ジョットは、ラピスから渡された宝石もとい、原石を使いボンゴレリングを作り上げた。

光り輝く石に刻まれた、天候の紋様。大空、嵐、雷、雨、晴、雲、霧。

恐らく、レフィに言われたのであろう。大空をボスとして、その守護者となる幹部たちに振り分けられた天候。そして、その天候になぞらえてボンゴレリングは生み出された。



それから、一か月。

住民を守るためにと力を振るうボンゴレはボンゴレリングという強大な力の後ろ盾もあってかほかのファミリーから畏怖される存在となっていた。

ファミリーも増えた。独自の研究機関も建設し守るための力を増強していった。


ジョットを筆頭に七人のボンゴレリング保持者のことは言うまでもないだろう。ファミリーの中でも確かな地位を築き、各々の得意とする分野で惜しげもなくその才能を披露している。


ファミリー開設時から、変わったことと言えばジョットが新たな機関を立ち上げたことだろうか。






「ジョット、今日もラルドはいないの?」



「あぁ、他のファミリーの所に交渉にね」





そう、ラルドという青年。生真面目そうな風貌をした二十を少し過ぎたほどの男で、主に他のファミリーとの交渉などを行って貰っている。

理由は簡単だ。

いくらジョットが、この町のためと自警団を組織したからと言って、右も左もわからない。

恐ろしいほどの強さを持つジョットでも、細かい交渉などはよく分からないところがあった。ファミリーを立ち上げる前に一通りレフィに教わったのだが、正直あまり覚えていない。

それに、知識として持っているのと実践するのとでは訳が違うのだ。

という訳で、ボンゴレの他のファミリーとの交渉などはほとんどこのラルドが行っている。そして、ラルドの要望でそれ専門の機関を立ち上げた。


Gは最後まで反対していたが、このファミリーの主力はほとんどが未成年。ランポウに至ってはまだ10を数えたばかりだ。交渉には向いていない。

ならば、せめて自分たちが成人するまでと機関の立ち上げに渋々承諾した。



そして、予想外なことがもう一つ。


ラピスは殊の外ラルドになついていた。年の近いランポウともよく遊んでいたし、ジョットや雨月、ナックルはもちろんなんだかんだでGとも仲の良いラピス。

まぁ、ほとんどをアジトの外で過ごすアラウディやスペードとは仲良くも何もないのだが。




「ね〜〜!ラルドいつ帰ってくるの〜〜!!」


「そうだな、遅くても夜には帰ってくるんじゃないのか」



だから、それまでランポウと遊んでろ。そういうと、素直にうなずいて部屋を出ていくラピス。




こういってはなんだが、穏やかな日々が続いているなとジョットは思う。マフィアとなったからには四六時中血なまぐさい世界になるのかと思ってもいたがどうやらそれは違ったようだ。

最近は、大きな抗争もない。それに何より、ファミリーの統率にも慣れ穏やかな日々が続いている。


ラピスも最初は煙たがられていたようだが、人当たりの良いあの性格のおかげだろう。たちまちファミリーの者たちに受け入れられ、いつの間にかラピスはファミリーの一員となっていた。


そう、それは誰も疑わないこと。






「こんなことでいいのやら」






仮にもマフィア。仮にもボスが。こんな思想でいいのか。いや、いいのだ。自分は他者をおとしいれるためにボスとなったわけでもない。守りたかっただけなのだから。








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