真意は誰も知らず
「運命…?」
ジョットが訝しげに首を傾げると、ラピスは首を縦に振る。
「この宝石たちはね、ずっとずっと持ち主が現れるのを待っていたの。そして、宝石たちが貴方達を選んだ。だから、私はそれを届けにきたの」
「それじゃあ、これは元々君たちの家族が守ってきた物なのかい?」
「そうだよ!!お母さんもおばあちゃんもずっとこの宝石を守ってたの。やっと、持ち主が見つかって嬉しそうだった!!!」
キラキラというのが相応しいような笑顔を浮かべるラピス。Gは呆れているのか何とも言えない表情をして話を聞いている。そこで初めて、一人黙々と料理を食べ進めていたランポウが口を開く。
「じゃあお前は、この石がリングに変わるところを見届けたらすぐに帰るの?」
「え?…えっと、そうですね。申し訳ありませんがそれはできません」
「それは何故だ?」
答えたラピスに畳み掛けるようにしてGが問い掛ける
質問を重ねるにつれて、ラピスの口調が徐々に大人びていく。母を呼ぶのもお母さんから母様に変わり、まとう雰囲気も強く凛としたものになっていく。
「私は、守り人。このリングを守っていく守り人なのです。本当は母様がここにいるべきなんですけど、生憎、他の宝石たちにも持ち主が見つかって……母様はそちらの方を見てくると言っていました」
「リングは、君たちの一族が監視をしなければいけないという事かな?」
優しげな声でジョットが訪ねるが、ラピスは眉根を寄せながら首を傾げる。
「いえ、私たちの役目は宝石を持ち主に届けるというところまでだった気がします。確かに、時々リングの様子を見に行くということもあるでしょうけど、さすがにずっと一緒にいるというのは……母様は何を考えているんでしょうか?」
Gはもう呆れて何も言えないらしい。ため息をつきながら、自分から言い出しておいて何を言っているんだとぼそりと呟いている。雨月もナックルもあいまいな笑みを浮かべる。どうしたらいいのか分からないようだ。
「まぁ、君にも何故自分が俺たちのところで分からないという訳だね?」
「はい、お母さんにボンゴレファミリーの人たちにちょっとお世話になってきなさいっていわれました」
「そう、じゃあちょっとレフィに聞いてみるから。君は、暫くここにいてくれていいよ」
「本当ですか!それじゃあ、お世話になります!」
この時の私は、知る由もなかった。
これから起こる事に。
平和な毎日に気を取られて、感覚が鈍っていたのかもしれない。
昔、お母さんに言われたことも本当の意味では理解していなかった。
ううん、理解したくなかったという方が正しいのかもしれない
終焉の守り人
それが、私たちの呼び名。
そして、それが意味することを私はこれっぽっちもわかっていなかった。
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