小さな訪問者



恐ろしいほどに大きな屋敷。広大な敷地に建てられたそれはそこに住む者たちの持つ強大な権力をそのまま表しているようだ。

だがしかし、この屋敷に住まうのは最近できたばかりの新興ファミリー。恐ろしいほどの勢いで勢力を伸ばしながらも、己の領民を守る以外の戦闘は絶対にしない。

いうなれば、裏社会の正義

裏社会で正義などというのも馬鹿げた話ではあるが彼らを表すにはそれが一番合っていた。

そして、その広大な敷地の屋敷。その大きな門を見上げる小さな少女がいる。僅か四歳ほどのその少女は、ぽけーと呆けた顔で門を見上げる。

そして、ハッとしたようにふるふると首を振る。

いけないいけない。このくらいのことで吃驚してちゃいけないよ。そう思って、ラピスはゆっくりと門に全身を押し付ける様にしてその扉を開けていく。

ギギィ…と重たい音がして扉が開く。

すると突然、視界いっぱいに黒が広がった。



「……れ?」



急に足がふらつく、たっていられなくなる。あ、捕まっちゃったのかな?届け物しに来ただけなのにな……と呑気なことを考えながら、ラピスはゆっくりとその意識を手放した















ジョットが、アジトの前に何かがいるから連れてこい。と意味の分からないことを言ったのが十分前。

そして今、門の前で阿呆面をしていた子どもがいるのを見つけた。しかし、少女はいきなり倒れた。

慌てて駆け寄ってその体を支えると、少女はスースーと寝息を立てて呑気に眠っていた。



「なんなんだこいつは………」



思わずそう口に出してしまう。赤毛の少年は小さな少女を抱きかかえると、踵を返して屋敷へ引き返した。
















「G?何をしているのでござるか?」



Gが手に抱える少女を不思議そうに見つめる黒髪の青年は独特の口調で問いかける。



「ジョットがな……」


「あぁ、また例の超直感でござるか」



Gと烏帽子の青年…朝利雨月がジョットのいる執務室へと向かう。

ほどなくして、執務室に着いた二人は軽くその扉をノックすると部屋の中へと足を踏み入れる。



「来たか、G」


「あぁ、で。何なんだこのガキは」



心底いやそうに子どもを一瞥するG。



「それはその子が一番よく知っているだろう」



其処のベットに寝かせておいてくれと自分のベットを指さした。

Gは見ず知らずの子どもを本当にいいのかと言う目でジョットを見るがジョットが黙ってうなずいたのを見、眉をしかめつつもそれにしたがう。

幾年か前に作られたボンゴレファミリー。続々と仲間も集まって、今ではボスであるジョットと六人の幹部が中心となって、この地の秩序となっている。

六人目の守護者は朝利雨月。遠い東の島国から来たという。

そして、今ボンゴレには七人の有力者がいる。

それを見計らったように来た、この少女。



超直感が告げていた。




今から、何かが起こるのだと






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