終焉をもたらすには



カチャリと音を立てて、医務室の扉が開く。ゆっくりと、暗い炎を宿した瞳をそちらに向けるとツナが部屋に入ってくる。

ラピスの方に目を向けたツナは、その瞳に暗い炎が宿っているのを見て、愕然と目を見開く。だが、ラピスが一つ瞬きをすると、瞬時にその炎は掻き消えていつもの穏やかな瞳に戻る。

自分の見間違いだったのだろうかと思うが、自分の中にあるボンゴレの血が否と警鐘を鳴らす。

ツナの後に続き、他の守護者たち次いでヴァリアー幹部も入ってきたため、かなりの広さのある医務室も少々手狭に感じられた。

幸か不幸か、ツナの後に入ってきた者たちはラピスの暗い瞳を見なかったようだ。いつも通りに各々の好きな場所に陣取っている。



「ラピス…話があるんだけど、いい?」



恐る恐るといった風に切り出すツナは、明らかに先ほどのラピスの瞳に動揺している。

当事者であるラピスは心の中で大きな葛藤をしていた。

ボンゴレは、初代ボンゴレは憎むべき存在だ。それは、先ほど戻った記憶で決定づけられた。その為に、命を長らえさせてまで彼らを守ろうとしていたの愚かな自分に、反吐が出そうなほどあきれ返っているのもまた事実。



だが、ボンゴレに、今のボンゴレに何ら罪はない。



守りたいと、言っている自分がいる。



憎いと、泣き叫ぶ自分がいる。



どうしたらいいのか分からない。何がしたいのか分からない。



記憶を封じたことで、複雑に絡み合った感情の糸はしばらく、ほどけることはなさそうだ。







「どうぞ」







だが、とりあえず今は、ツナ達を信じてみよう。

これでまた裏切られるようなことになれば、この命を絶てばいい。
















この命が絶たれれば、ボンゴレは終焉を迎えるのだから。






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