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「でかー………」


ロマさんの運転により着いたパーティー会場と思しき場所はなんていうかあれだ。無駄に豪華だ。

キラキラっていうよりギラギラしてる。

残念ながらこの状況を事細かに説明したいのはやまやまなのだがミーの弱い頭じゃこの目の前の状況をなんて表現していいのか分からない。

ので、簡潔に述べてみようと思う。


「格差社会だ!!!」

「いきなり何叫んでるの」

「ちょ、委員長叩かないで。お願い、謝るから叩かないでおくれ」


何だよ何だよ。せっかくみんなにわかりやすいように簡潔に説明したのに。なんで怒られなければならないのだ。

ぶつぶつつぶやいていると、ふと聞こえる私の名を呼ぶ声。

そう、この時気づいたのだ。私は人ならざるものの声が聞こえるのだという事。だってほら今も。


「宇宙人の声が聞こえる」

「誰が宇宙人!?」

「今時の宇宙人は髪の毛重力に逆らわせるのがブームなのね」

「楓は意味わからないこと言わないでよ!ちょっと獄寺君も喜ばないで!…ってうわぁああ!雲雀さん!?」


私の名前を呼んでいた宇宙人もといツナ君は委員長がいるともしれずにべらべらと話し、挙句の果てには委員長に気づいて叫び声を上げた。

そして、彼は帰らぬ人となったのだった。委員長の、怒りを買ったことによって………


「いや、死んでいないから!」

「つまらんイガ栗だな」

「…………格好変わっても本当に変わらないね」


何故か呆れ顔でこっちを見るツナさん。何々?それは嫌味かな?楓ちゃんのことを馬鹿にしちゃってるのかな?


「お!全員集まってるな!!」


ツッ君に詰め寄りつつ、スーツに会いすぎてイラついたので獄寺をいじりつつ、山本に寿司はないのかと尋ねていると陽気な声がする。

そして、隣にいる委員長の機嫌がジェットコースタも顔負けのスピードで急降下していくのが感じ取れた。


「ディーノさんは本当に委員長を怒らせるのが得意ですね」

「楓それ褒めてないよな?」

「褒めてますよ。ものすごい才能だと思います。存在を委員長に否定されるなんてさすがの私でもありませんよ」

((((いや、それは楓だけ!!))))


む?

何故だろうか。みんながあきれ返ったような目でこっちを見てるぞ?なんだなんだ?いじめか?


「ま、ゆっくりしてってくれよな!!」


取り繕ったディーノさんに若干の違和感を覚える。


「ディーノさん、食い物は!ねぇ高いやつは!!って痛い痛い!たたくなよ委員長!!」


食い気でそんな考えは全部ふっとんだ。

しかし痛い。さっきからなんなのさ委員長!

バシバシバシバシ人の頭たたいて!うちの頭はモグラたたきじゃねぇぞ!!


「意味わかんないよ」

「そんなに真面目に返されても困る!!」


まったく本当にね、この人の前じゃろくに口も開けませんよね。いつどこに冷たいツッコミが隠れているかわかりませんからね。

あ、こいつ心の中読めるんだったよ。

意味ないじゃないか。

え、ちょということは……


「私のプライバシー権は!?プライバシー流出の権利はどこ行っちゃったの!?」

「楓、漏れてる。流出じゃ漏れてるから」

「あらま大変」


ツナさんのこいつ頭大乗部下的な目線を含んだツッコミをいただきましたら、横から放たれる冷たい声。

もうさ、いいと思うんだよね!傷がこれ以上深くなったらどうす……


「いまさら何を言ってるんだか」


はい、深くなりました――!ものの見事に抉り取られました―――!!


「委員長はね、もうちょっと人の気持ちを考えて行動したほうがいいよ。この人はどういうことを思ってるのかな?とか」

「わかるけどね」

「そうだったよ!こいつ心読めるんだったよ!!って、ああああ!忘れてた!ディーノさん飯!ごはん!」

「相変わらずだな、ほら!ちょうど運ばれてきたぞ」

「よしっ!戦地へ赴くぞ委員長!」

「殉職おめでとう」

「殺さないで!!!冗談でもそういうこと言っちゃダメ」

「戦地へ行くなんて馬鹿じゃないの」

「だぁあああ!さっきはのってくれたのに!今度は冷たい!ブリザードのごとし!」


なんなんだその温度差は!さっきは殉職おめでとうって言ったのに!戦地へ行くって設定にのってくれたのに!

本当に気まぐれな奴だな!!


「一人で行ってらっしゃい」

「マジすんません。謝るから一緒に来て」

「? なんで楓は恭弥と一緒に行こうとするんだ?」


首を傾げながらそういうディーノさん。何やらツナたちが青くなっているが大丈夫だろうか。

というか、私が委員長を引き連れていく理由など一つしかなかろう!!


「ある作戦を決行するためです!!」

「作戦?」

「作戦X2!委員長の殺気で相手がひるんだすきにごはんゲットだぜ作戦!
作戦V9!委員長の真っ黒オーラで誰も近づけない負の空間を作り上げてその隙にごはんをゲットだぜ作戦!
作戦L4!委員長の……」

「分かった。もういいから行って来い」


あれれれれ、ディーノさんの呆れ顔。レアもんだなこりゃ。とか思ってるとガラガラという音!

あれだよあれ!ごはんのっけてはこぶやつ!名前知らないけどな!


「いくぞ委員長ぉおおおお!!」

「…………はぁ」




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