58



ボスが笑った。

そして、その感動の瞬間を作り出した少女は、キラキラとした瞳でドライバーを手にして微笑んでいる。いや、にやけている。


―――「ヤバいな〜〜これでもうカッコよく爆弾処理とかしちゃったら、ファンが増えちゃうんじゃないかな〜?十倍くらいに

―――「もとが0だから十倍しても0だね」

―――「ヒバリさん酷い!!」


とか何とか言いながら少女はねじ回しを丁度良くカメラのレンズの所にガンガンぶつけている。何故ねじを回さないのか。馬鹿だからだ。

ちなみにスクアーロ氏はもう面倒くさくなったようで傍観を決め込んでいるのである。


―――「よし!大体の構造はつかめたぞ!」


今の行動で分かったらこの世に科学者はいらないのである。そして、次の瞬間カエデが取った行動は、全人類の度肝を抜くものであった。

いや、そこまではいかないかもしれないけど。過度な期待はご遠慮くださいってやつですな。


―――「だらっしゃぁああああ!!」


意味の分からない奇声を発して、カメラに向かってチョップしたのである。バキョといい音が聞こえて次の瞬間、見ていたスクリーンにはザ―――とお決まりの砂嵐が流れる。

ヴァリアー帝国の者たちは思った。

こいつら、簡単に倒せんじゃね?偵察とかいらないんじゃね?その前に、こいつら病院行った方がいいんじゃね?

残念ながらナミモーリに病院はない。馬鹿は風邪ひかないのだ。もし風邪ひいても頑張って自力で治すのだ。首にネギとかまいとけば治ると思っちゃってるのだ。

ヴァリアー帝国の幹部たちは、ナミモーリに攻め入る準備を始めるのだった。





ところかわってナミモーリの王城。王座についているのはツナ・サワダ。決してツナサラダではないからそこのところ間違えないように。

王様が座るでっかいイスに座りながら、何度も何度もため息をついている。そのストレスからか、髪の毛は重力を無視しており、その姿はまるでスーパー「それ以上言うな」

王様にナレーションを遮られてしまったのである。


「ヴァリアー帝国が責めてくるなんて……」


こんなへたれっぷりと発揮している国王様だが、実はお腹の中ではどんなことを考えているのか分からないのである。優しそうな人ほど怒らすほど怖いのはこの世の心理なのだから。


「カエデと、ヒバリを呼んで」


近くにいた大臣か何かかと思われるジジィにそう告げると、国王様はまた溜息をつく。国王様は苦労人なのである。

国王に直々に呼び出されたカエデとヒバリ。片方は意気揚々と、もう片方は殺気を漲らせて王の間に向かう。どちらがどのような行動をとっているのかは説明しなくてもわかるだろう。ヒバリがるんるんで王の間に向かってたら気持ち悪いのだ。もう、天変地異とか起きちゃうかもしれないのだ。


「何の用ですかー」

「早くして、咬み殺すよ」


およそ国王に対してとる態度ではないのである。だがまぁ、そこはナミモーリ。どうにでもなっちゃうのだ。


「あのね、近々ヴァリアー帝国が責めてくるってのは知ってる?」

「あ、知ってます。さっき影武者にあって爆弾処理しました」

「その帝国に対抗するには、強大な力が必要だ」

「でも、ロン毛の白髪は追い払いましたよ?」

「そこで、君たちに頼みがある」

「あ、今気づいた。会話が成り立ってるようで成り立ってない。言葉のキャッチボールができてない」

「ヴァリアー帝国を、滅ぼしてくれ」

「えぇえええええええええ!!」

「ふっ、たまにはいいこと言うじゃない」


恐ろしいのであるこの国王。ナミモーリは平和だったんじゃなかったのだ。この国王が悪いもの全部追っ払ってくれてたのだ。というか、何故ヒバリ同意する。


「それじゃ、頼んだよ」

「え、いや。ものっそい笑顔で言われても。え、マジでいくの?」





とりあえず、次回くらいにヴァリアー帝国と戦争。



[ 62/83 ]

[prev] [next]

back


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -