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必死に笑いをかみ砕いていると(噛み殺すの間違いです)委員長が、じとーーーーって効果音が付きそうな目つきでこっちを見てくる。んだよ。お前がシャべんねぇからツッコミを()入れてやってんだからな!

分かってんのか!!!

あぁん!?とガンを飛ばしてみると、ハッと鼻で笑われる。笑ったぁあああああ!何で!前れん兄は半泣きになってたのに!!あ、委員長だからか。

何で、どして!ぐるぐる頭を回転させ今の状況をどうにかする解決策を探り当てようとする。

はい、検索結果出ましたーーーー!!


「わかんねェええええええ!!」


高らかに澄み切っている青空…あ、違う。もう夕方になっちゃってたんじゃん。もっかい。

高らかに赤く染まった空に叫ぶと、委員長の鋭い視線がさらに鋭くなる。しいて言うと、果物ナイフが日本刀くらい変わった。ものすごく怖いのですハイ。

そして、委員長は何を思ったのかつかつかとこっちに歩いてくる。ななななななんだよコノヤロー!

後ずさりして、道の端っこまで追いつめられる。ヤバいやばい!殺されるぅうう!!


「はぁ……」


何で!?なんでこいつはため息なんかついてるの!?ムカつくんだけど!でも何も言わないけどな!!なぜなら命が惜しいからさ!!


「馬鹿」


一言。でもそれでも、ものっそい怖かったんだ。全身が震えあがる勢いだったのだ(恐怖で口調可笑しくなってます)

んで、眼下にせまりくる死を覚悟して目を閉じたら、急になんかあったかくなった。ほら、例えるならあれ…ほら!!


「………羽毛布団」


なんかすっごいあったかい。眠い。ものすごく眠たくなってきたぞコノヤロー


「僕、羽毛布団じゃないけどね」


あれ?羽毛布団が喋った。いやーー最近の羽毛布団は高性能ですなーこれで目覚ましいらずだね!!


「ふざけるのもいい加減にすれば?」


え〜〜とか思いながら、目を開けてみると目の前に現れたのは、白。ほら!布団の色じゃんとか言ったのもつかの間。む?これは布団の質感じゃない…と顔を上げてみれば、物凄い顔でこっち見てる委員長。

つか、え?これって、あれれれれれれ?


「え、えええええええええええええええええ!!!」

「うるさい」

「いやいやいやいや、うるさいじゃないですよ!何なんすか何なんすか!!なんで!?これってあれですよね!ハグってやつですよね!なんで!?どしてぇええええ」

「だからうるさいって」


というかしゃべりつつも離そうという気はないわけだなこいつは!!


「いんちょ〜なんでわたくしいんちょにだきしめられてるんでしょーー」

「寒いから」

「あぁ〜確かにあったかいですもんねーいんちょ凄いですよーー今私の思ってること教えてあげましょうか?てか教えてあげます」


えっと〜と指を折りながら、委員長に教えて進ぜよう!わが胸の中に秘めたる思いを!あ、今言ったら秘めてねーじゃん。やっぱ今の無しで


「えっとーあったかい1割ー何で抱きしめられてんだろ1割ーてか放す気ないのかな1割―羽毛布団7割!!!」


誇らしげにそういう私を委員長が冷たい瞳で……あれ?冷たくない。むしろあったかい!どうしよ!委員長の視線がなんか優しいよ!!

あれだよ!猫型ロボの温かい目だよ!!いや、そこまでいかないけど、軽く微笑んじゃってるよ!!


「楓、分かった?」

「何がですか!?」

「……ま、いいけど」


これから、分からせてあげるよ。とか言って委員長はまたわらう。何だよ!気づかせるてなんだよ!こちとらお前の恐怖はもうとっくの昔にきがついとるわ!!




「はひぃいい!!どうしましょ!決定的瞬間を目撃してしまいました!!」

「しっ!大きな声出さないで。楓にばれるわ」




「…………」

「…………」




「あら、二人ともしゃべらなくなったわね。つまらないわ。キスでもしないのかしら」

「はひぃ!?ビアンキさん何言ってるんですか!!」




「いんちょ、何かいます」

「……帰るよ」




そう言って、抱きしめていた腕を離し私の手を取って家に向かって歩き出す委員長。あ、ちなみに私の家。送ってくれるっぽいっす。

まぁ、ビアンキさんとハルちゃんが後つけてたのは………委員長、気づいてなかったのかな?


「いんちょ〜ハルちゃんたちが…「気づいてたよ」ですよねー」


でも、何も台詞遮らなくてもよかったと思うなぁ〜〜


「でも、どうして何もしなかったんですか?つけられたりしたら真っ先に咬み殺しに行きそうなのに」


ま、ハルちゃん傷つけたらいくら委員長でも許しませんけどね!!あ、ビアンキさんは紫色の兵器持ってるからダイジョブなんだよ。

って、言ったらなんかすごい目で見られた。まさか!みたいな。何かに吃驚してるみたいな。よく分からんけども。


「それは、途中で帰るのが………」

「楓――――――――――――――!!!!」


委員長が何か、言いかけたとき間近に迫っていた家の玄関から飛び出してきたアホ一名。サッとそれをよけてみれば、マンガみたいに電柱と正面衝突してた。アホじゃ。


「それじゃあ、委員長。送ってくれてありがとうごぜーました」

「どうしてだろう。すごく苛々してきた」

「気のせいでございましょ?」


それじゃ、月曜日学校でーって言ったら「明日学校で書類整理ね」って言われで、気が付かなかったふりをしようと「サボったらどうなるかわかるよね?」

明日は学校だ!わーい。……わー、い。





「あれ!?ちょ、オレは!?オレはスルー!?」

「安心しろ。オレは出番すらないからな」


残念な兄貴ズ。




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