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カリカリカリカリ……
応接室には、私のシャーペンを走らせる音だけが響く。委員長はというと、大変失礼なことに私に問題集的なものを渡してさっさと睡眠タイムに入ってしまった。
「サァンタさんがくぅれーたーーシャーペンが血に染まるぅうーー(小声)」
え?一人で歌うたって馬鹿じゃないかって?失礼な!馬鹿じゃないわ!!
えー只今私は実験中でございます。だってほら、私がシャーペンでカリカリなんか書いてても起きないじゃん委員長。
漫画では木の葉っぱとかが落ちる音でも目を覚ますって言ってたけど、シャーペンの音は葉っぱが落ちる音以下だってか!?
ここで私は思ったわけですよ。
=委員長、キャラ偽装疑惑=
仮にも風紀委員長というものが、キャラを偽装していいというのか!?答えは否だ!!
そこで私、自称国家独立諜報部隊特攻部隊隊長予定赤羽楓が調査に乗り出したわけであります!
簡単に言えば、勝手に言っているだけなのであります!漢字を並べると強そうに見えるのであります!
「よし、もうちょっと音量上げて歌ってみようか。うん。」
すぅ…と肺の中に思いっきり空気を吸い込んで私は歌いだす。
「闇のなかぁーー光ってたのはーオッチャンが落とした小銭〜〜うぎゃあ!」
ガン。はい、歌いだした瞬間に委員長の方から国語辞典が飛んでくる。ものっそい良い音を立てて私の頭にミラクルヒットした国語辞典。
ハッ!まさか本当だったのか!?木の葉の音でも目を覚ますという明らか無理矢理感のあった設定は真実だったというのか!?
そして委員長の目は語る。次起こしたら殺すぞコラァ。
何処のチンピラだお前は。まぁ、そんなこと言わないけどな!いえないんじゃなくて言わないけどな。
そんなこんなで、いまだに私を睨み付けている委員長にグッと親指を立てながらぶんぶんと首を縦に振る。
それでまた委員長はまた夢の中へ。
「次の作戦にうつるであります隊長(超小声)」
いもしない隊長にそう告げると私は戦地に赴くため戦闘準備を始める。
右手には、水性ペン(油性だと後が怖い)
左手には、水で濡らしたハンカチ(いざという時はこれで強く委員長の顔面こすり素知らぬふりをする)←無謀
両足には、超高性能のジェットエンジン搭載のスーパーシューズ←嘘
そして心には何物にも屈さない強すぎる心!←勇者に憧れてたりする
さぁ、行け!!戦地へ!!
そろそろと足音を立てないように委員長に近づく。←戦地に向かってる。
んでもって、持ってた水性ペンのふたを開けようと力を込めると、ふたはきゅぽんといい音を立ててあいた。
……いい音を立てて開いた。
んーーなんかものすごく嫌な予感がする。死亡フラグが未だかつて無いくらい立った気がする。
「何してるの…?」
そら来た―――!!
「いや、何もしてませんて!ホントに!ほら、勉強終わったんで報告しよっかなって!!」
「へぇ、じゃあ証拠見せてよ」
「ええええええそそれはですね。あれですよほら。私、紙の上ではかれるような女じゃないんで。心の中にはバッチシ勉強した証が詰まってますけど」
我ながら苦しい言い訳。だが、委員長の殺気光線をその身に受けながらの言い訳は大体こんなもんだ。いつもこんなもんだった。
「日本に開国を迫ってきたアメリカの使者は?」
これはあれだな!問題を出して私の知能を試そうとかいうあれだな!!
だがな、その問題を出したのが運のつきだ雲雀!!あ、やべぇこいつ心読めるんだった。呼び捨てばれんじゃん。いけねいけね。
あ、そうじゃなくて。
こんなものこの楓様にかかればお手の物ってな!!
「ハリスインパクト!!」
「は?」
「あ、違う。ペペロンチーノだ」
「………もういいよ。君に勉強しろっていう僕が馬鹿だった」
「バーーカバーーカ」
殴らなくてもいいじゃないか。
でも、勉強しなくて済むのはラッキーだなと思いました。でも、後で草壁さんにテスト見せたら怒られました。お母さんみたいだなと思いました。
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